Kindle Unlimitedの購入からのおすすめで何気なく読んでみたが、予想外の内容の本だった。
◆Kindle版
◆冊子版
簡潔に言うと、真宗大谷派の同朋会館で補導として勤務されていた僧侶の方が労働条件(残業未払い)の交渉の課程でパワハラに合い、さらに雇い止めになり、合意されていたことが教団側は履行しているというが、原告側はされていないということで解決に至っていないという事件の話。
前半は著者の生い立ちや親鸞聖人への思いなどであるが、ここの感想はひとまず置いとく。
2017年位のことであれば、一般企業でも同様のことが多く行われていた頃だと思う。周りの状況を見ていると、働き方改革の浸透は政府/メディアの盛り上げから若干遅れてぼちぼちな感じがする。残業代のつかない管理職が仕事したらいいとか、とりあえず残業させたらいけないから帰れ(でも自己啓発で残るのはいいよ)とかはよく聞く話・・・。でもこれは本山の中であったことなんだよな・・・。企業と同じに考えるのは違うな。
いい意味でも悪い意味でも、世間からは「聖」属性で見られている伝統宗教。その認識があれば、もっとちゃんと対応した方がいいのではないかというのは世間的な見方。著者が言われるように、「悲しんで苦しんでいる」という中の人間の言葉に耳を傾けるということが実際行われば、このような結果にはならなかったのではないだろうか。
人間がやっている組織だからそういうことがあってもまったく驚かないなという気持ちと、宗教団体の中で起こっている事実に対して、一般企業以上に残念、がっかりという気持ちが生まれてくる。後者の方がどうしても大きくなる。
ともかく、この件で心の傷を負われた方の快復を願うと共に、時流によって内部の自浄作用が働くように変化しているといいのだが・・・と思う。
同じ教えをいただいた中での最高の解決方法はなんなのだろうか。読んだ者に考えさせられる。