読み終わって思ったのが、「これは浄土真宗を伝道する立場の人が読む本かな」ということだった。
アメリカにおける宗教としての仏教の拡大は、現在のマインドフルネスの浸透を見てもそうだろうなと思う。
たしかに「体験」ということは大事だと思う。それがあることが確かな手応えを感じる ということになるのだろう。「称名念仏」を体験と捉えるというのも広義ではありなのかな。practice と位置づけるのは確かに賛否両論だろうな。
観光に関わる外国の方に聞いたが、外国人には清水寺が大人気だそうだ。参拝するということはもちろん、滝で水を飲んだり、胎内巡りがあったり。体験ができるから人気なのだそうだ。仏教を体感できるということ。
日本の仏教は歴史的に葬儀と切っても切り離せない関係性で今も成り立っている。外国においては、そうではないというのが大きな違い。この違いをまったくなくして考えることはないだろうから、「葬儀すらも遠のくかもしれない未来」を想像してなら著者の挙げるような提案を日本のお寺の活動に入れていくというのもあるのかもしれない。
そうかあとは思うけど、教団の立場でないから自分からすると、日本国内の真宗のお寺がドラスティックに瞑想に傾くというのも違うかなと思ってしまう。
著者の方が、真宗を外国で浸透させるための方向性をいくつか挙げていらっしゃったが、それは実践できるのであれば効果がありそうだなとは感じる。
あえて言うなら、講義3本の書き起こしで成り立っているのだが、後半2本の内容がほぼまるかぶりだったのが残念である。違う視点のものであれば厚みを感じられたのにと思った。
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