『真実の人ーー妙好人』 松塚豊茂著 響流書房
このブログをずっと読んでくれている人はうっすら覚えていてくれているかもしれないが、自分は正直妙好人の本があまり好きではない。というのも、妙好人と呼ばれる方がいて、その方の言動から他力の世界が感じられるというのはなんとなく解る。が、妙好人の本を薦めてくる人は大抵が「信心」に囚われている人に思えるからだ。こういう境地に「いかなくてはならない」もしくは「なりたい」という意識を感じてしまう。
あと、古い時代の方が多いので、どうしても現代社会にいたとして、なかなか社会生活難しいよね・・・というタイプに見えてしまうのも一つ。
この本は、そういった妙好人の言動を讃嘆するものではなく、エピソードはあるものの、聖典からの解説、哲学的見地からの論理的な見解が差し挟まれていて妙好人の存在についてどうとらえるといいのかということを考えさせてくれる。
学問をすると、どうしても自分の頭や文字の力に頼ることになって、法義に耳を傾けなくなる。念仏のこころというのは、方角が立ち、わかったと思っている間は駄目であると申し上げてもよ。いでしょう。
途中、鈴木大拙の「他力中の自力」という言葉が出てくる。妙好人たちが詩作、道徳的発言において万人を魅了するものは、これであると。giftedみたいな感じかな。
ひたすら妙好人のエピソードが載っている本よりは、この本でどういうことが見いだされるのかを確認しながら読まれた方がいいかと思う。個人的には☆3.5 。