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14歳からの哲学

『14歳からの哲学 考えるための教科書』池田晶子著 株式会社トランスビュー

 

14歳からの哲学 考えるための教科書

14歳からの哲学 考えるための教科書

  • 作者:池田 晶子
  • 発売日: 2003/03/20
  • メディア: 単行本
 

 この本を薦めてくれた友達は、「17歳のからの哲学だけ読めばいいよ」と言っていたが、やっぱり最初から読もうと思って読んだ。意外と私の周りのビジネスマンは14歳からの哲学から読んだ方がいいかもしれないと感じた。これがそもそもの「考える」ということの基本を突き詰めているところだからだ。

大人になって自分たちは、「考える」ことをしているようでいて、年を重ねるにつれ、経験則で善し悪しの分別を無意識に行っているだけなのかもしれない。「本当にそうである」ということと「本当にそう思う」ということを曖昧にして生きている。たったひとりでもこう「思う」ことに突き進むことを忘れてしまっていることがある。みんながどうか、どうしたら周りから浮かないか、計算してしまう。

答えの出ないことを「考える」ということを放棄してしまっている。解決しないなら考えないという選択をする人もいる。

この本は若者を想定して、大人の著者がわかりやすく語りかけるように書いている。でもこれはすでに大人になった自分が「14歳」の自分の部分で読むのでもいいのだ。自分の精神はずっと変わっていないはず。14歳の時の自分も自分の中にたしかにいるのだ。

 

 

17歳からの哲学の部分は、大人の我々にも突き刺さることが多い。真宗の教えとかぶって読める所もたくさんある。でもこれは哲学書。哲学と仏教がいかに近しいものかと驚く。ほんとうのことに近づくという点で、同じことなのだ。

 

年齢によって、出遇う本というのはなんとなく分かれている。特に子供のころは。別に大人が読むものを読んでもいいはずなのに、あんまりそうでもない気がする。

この本は「14歳」とあえてタイトルに入れることで対象に若い年齢層を入れることができている。でもそれはそこだけがターゲットではなくて、14歳を通り抜けてきた自分たちも読むべき本なのだ。そしてほんとうのことに近づくのだ。