『法蔵魂を呼び覚まされて』 宮岳文隆 響流書房
最初に注意として書いておく。
一通り読んで、この本は既に真宗の教えを大体わかっており、その生活をする中において苦しみ悩んでいる方が読まれるといい本である。
仏教も浄土真宗も何もわからないという人が読んだ場合、ひょっとしたらなにかお感じになるところがあるかもしれないが、わからない部分が多いのではないかと思う。
宮岳師の法話のように、読むもの、また本の中での発言者の方と同じ目線で語られるお話。苦しくてたまらないけれど、自分は今生きている。自分の意識の知らない奥底の所にある、自分を動かすもの。それを「法蔵魂」としてお話しされている。
何度も同じことを繰り返しているようであるが、一つ一つのエピソードは、自分ではないか自分もそんなことがあったなあと思うような誰かのお話。生きている苦しみの話。それに対して宮岳師が経典や親鸞聖人のお言葉から、また師である方の言葉から自分が聞いてきたことを語られるというスタイル。
同じようにじっと聞いていく(読んでいく)と、自分の中にもそれを深く読み込んでいく感じがしてくる不思議な本。とても面白くてどんどん読み進んでしまいます!というタイプのものではないけれども、なんとも言えないずっしりとした読後感がある。
自分は最近法蔵菩薩のお話をよく聞くので、それもあってとてもよかった。お聴聞される方はご一読をおすすめする。
◆宮岳師の法話