『闡提ー加藤泰憲作品集2』加藤泰憲 響流書房
言葉であると説明が難しいことを漫画ならではの表現力で訴えてくる。
『闡提』は不幸な人生を辿った女性が善信坊(親鸞聖人)に出遇うまで。18禁であると思うがそれが故に我々の日々の生活の中での罪科というものが「これくらいはいいだろう」から実際に自分の身に置き換えて考える機会を与えてくれている気がする。
最期に未公表の『闡提2』のスケッチがあるので、そちらと合わせて是非。
活字だけではついつい上滑りしていくことがひとつひとつ刺さってくる。漫画ってすごい。
『新今昔物語』は玄奘三蔵が旅の途中で日本人に会ったという創作譚(だと思う)。西へ西へと真実を求める人。自分が法話を聞いているのは潜在意識の中にこれがあるからだと思う。でも自覚として活字にすることはできない。でも読んでいてそんなことを思った。
『内面への道ー歎異抄第二章より』は、有名な関東のお同行が親鸞聖人のところにやってきたときの話。親鸞聖人の内面に迫る描写は、作者の加藤師でしかできない事だなあと思う。
漫画と侮ることなかれ。まったく仏教に興味のない人にも伝わることがある。人物の絵があることで自分に投影して考えることも出来るんだなと感じた。
ちょっと老眼気味の方は、タブレットで拡大してご覧になるのがお薦め。
◆加藤泰憲師の作品