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『インド仏教思想史』 「思想」の解説がすごい

 

 

 『インド仏教思想史』 三枝充悳 講談社学術文庫

 三枝先生が中村元先生と書かれた『バウッダ』が流れとすれば、この本は思想の一つ一つに触れて解説してある。

 初期仏教、部派仏教、大乗仏教の大きな分類とその中に「名前のついた」思想の解説がある。テストだと教科書的に名称だけ覚えておくようなことをきちんと解説してある。学術的な解説だが極力難しくなく、大前提となる仏教基礎知識がなくてもわかるように書かれていると思う。それ故に専門的な人には物足りないのかもしれない。自分くらいだと、浄土真宗の法話で聞いていることが、いかに初期仏教、部派仏教とも関わりがあるのかと言うことを解説を通して明らかにしてもらっている感じがしてとてもよかった。

 ずっと佐々木閑先生のYouTube講座を聞いているので、インドからの仏教の伝播についてはなんども聞く感じになってなかなか身につかない自分にとっては復習のようでよかった。

 あとで用語も丁寧に解説されているので、あとで気になることを探して読むのもいいと思う。

 ナーガールジュナから如来蔵・仏性思想、唯識説の辺りは系統だったものを読んだことがなかったので、難解なことながら解説が丁寧で挫折しない入門書としてはいいと思う。

 バウッダとこの本で初期仏教から大乗仏教への流れと先人の考えた中身が一致する感じがする。そう思うとこんなにたくさんの人がこんなことを考えていまここの自分に仏教が伝わっていると言うことに感動して泣いてしまうのだ。

 

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