如是我我聞

仏教書、哲学書、お聴聞の記録をつけています。

『ソフィーの世界』 読み返してみたら時代を感じる

『新装版 ソフィーの世界 ―哲学者からの不思議な手紙』(上)(下)

 ヨースタイン・ゴルデル、池田香代子 NHK出版

 なつかしい。懐かしさのあまりに再読。いまはKindleになってるのだな。あれ分厚かったなあ。

 若い頃に読んだものって蘇ってくるのが早いな。ミステリー部分の構成に関しては早々に思い出してきた。後は哲学部分。

 哲学者の個々の思想について、謎のおじさんの解説があるわけだが、やっぱり容量的に一面的な気もする。ただ、Wikiに出てきそうな項目的解説と言うよりはその哲学者の本質的なところをピックアップされているような気がした(検証はできない)のでいいのではないかと思う。

 上巻のポイントは哲学的内容の解説が中心であり、下巻に関しては、それまで学んできたことと、いまこの本を読んでいる自分とソフィーと、その他登場人物が「ある」という可能性について自分の分別心も揺さぶられながら読み進めていく感じが面白い。

 やはりこういうのに手を出しておきながら思うのは、「いや、概略知っていい気にならないで原典に当たれよ」ということなのである。

 個人的にはスピノザとキェルケゴール。スピノザは買わないといけない。キェルケゴールは積読あり。

 ただの哲学紹介本ではなく、読者自身に考えさせるミステリー仕立てになっているのがこの本のいいところ。面白く読むにはおすすめ。