『宗教哲学入門』 量義治 講談社学術文庫
とある講座に行って、この著者の名前を目にしたので至急積本から探して読んだ。
びっくりするくらいすっきりはっきりとカテゴリーごとに語られている。無駄がないというより、選ばれた言葉で著わされたものはそれだけで深さを感じさせる。また著者が言及しているように、著者の信仰の告白的な部分が滲み出ている感じがする。
キリスト教、仏教、イスラム教についてかかれているが、なんというか一般的な当たり障りのない第三者的なものじゃなくて、本質につっこんでいる感じの書き方なのだ。上手くいえないから読んでみて欲しい。
元は1999年の本で、2008年に講談社学術文庫ででたのかな。とにかく「ほんとうのこと」というのは時代による色あせをまったく感じさせない。今のこととして読める。今の自分のなかの疑問と似たことがここにあった。
大収穫というか、びっくりしたのがこの本を読んでなぜか西田幾多郎の絶対無が一段深く自分の中に入ってきた。全然違う人の話なんだけどな。
いい本というのは、その本自体に書かれている言葉に自分が揺さぶられるというのがまずあると思うが、この本の場合は、読んでいてまったく違うところのなにかとなにかが一気につながるようなことが自分の中に起こったところが「いい本」かなと思う。絶対者についてのところ、絶対有と絶対無。ここは新しい気づきが多かった。哲学的アプローチだけれども、信仰と重ねたときにハッとすることがある。言葉による記述の限界だが。
信と無信との間の矛盾は絶対の信と絶対の無信との間の絶対矛盾である。
非常に読みやすい。難しいところは何回か読んでみて考えた。神学(キリスト教)が厚目かもしれないが、仏教のところも深い。自分としては、遠藤周作を最近読んでいるので、キリスト教の部分を興味深く読んだ。アガペーについてとか。
現代の宗教の課題はこのような空虚からの救済である。
今の話。すごくよかった。
◆西田幾多郎の絶対無の本