如是我我聞

仏教書、哲学書、お聴聞の記録をつけています。

明覚寺 春期彼岸 「阿弥陀経」 瓜生崇師

2022年3月19日(土) 13:30~
明覚寺 春期彼岸 「阿弥陀経」 瓜生崇師

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阿弥陀経 毎日読むようなお経。
如是我聞 かくの如く我聞く。お経は聞いた人が作っている。お釈迦様のお説教を聞いた人が作っている。お経の責任は聞いた人にある。
この我=みなさん お話は聞いた人が聞いたとおりに受け取っていくので、話したものの責任ではない。
仏教では聞くというのが大事。
祇樹給孤独園 お話が説かれた場所。
スダッタ 人間は衣食住が満たされたら幸せになるかというとそうではないと気がついた。ある人には「ある」苦しみ、ない人には「ない」苦しみがある。どうにもならないものを抱えている。貧しい人、孤独な人を救おうとしてきたが、どうにもならないことに気がつく。お釈迦様のお話をみんなに聞かせたいと思い、道場を作る。

アヌルダ お釈迦様の説教で居眠りをしたことを反省し、寝ない誓いを立てて失明する。

ラーフラ 束縛者という名前。お釈迦様の息子。舎利弗の弟子となった。
チューラパンダカ 何も覚えられなくて、お釈迦さまに言われたとおり掃除をしながら悟りを開いた

たくさんの弟子がお話を聞いていた。

【シャーリプトラとモッガラーナ】※ちょっと一回カタカナ表記 
バラモン出身。人間の価値は生まれで決まるなんておかしいと思い、サンジャヤの元で哲学をした。250人の弟子を師匠からもらう。が、人間はやっぱりすくわれないところがあると気がついた。人間の知恵で人間のほんとうのところを知ることが出来ない。
お釈迦様の噂を聞いて、それだけでシャーリープトラは悟った!(お釈迦様に会う前)
250人もろともお釈迦様のところに行った。とても優秀な人。

哲学の問い ソクラテスの時から変わらない。「わたしはいったいなにものか」「わたしはいったいどこからきたのか」「わたしはいったいどこにいくのか」何千年もやって答えが出てない。

お経の中でずっと「舎利弗」を呼びかける。

無問自説経 問いがないままお釈迦様が言いたいことをずっと言いつづける。阿弥陀経だけ。不思議なお経。

『阿弥陀経』にはキンキラキンの極楽浄土が描かれている。楽しみが極まった世界。南無阿弥陀仏を称えて極楽に行こうと言っているお経。人間って幸せを極めても幸せになれないということをいっていたんじゃないのか???幸せの世界に生まれてよかったという話はなんかおかしい。思い通りにならないから苦しい。なんでもかんでも思い通りになったならすくわれるのか?多分そんなことはない。苦楽一如。

悟った舎利弗にお釈迦様がこの極楽の話をする。舎利弗は「何でわたしにこんな話をするのだろう?」で、一回も返事しない。
これはお釈迦様がどういう方かということと深く関わっている。

【梵天勧請】

お釈迦様 29才出家、35才で悟る。お釈迦様の悟った内容は、「無分別の世界・すべての者が平等の世界」
分別 一般に褒め言葉でいうが、仏教ではわたしを中心に分け隔てていく。すべてに善し悪しをつける。

梵天は、お釈迦様が悟ったことを自分だけのものにして涅槃に行こうとするところ、止めに行く。みんなに説いて下さい。誰かわかる人がいる。

一切平等を概念的にそうねと思うことはできても、自分のことになったら絶対思えない。われわれは仏さまのことを拒絶する。わたしはそうはならない。

だからお釈迦様はみんなに批判されるだけで苦しいだけだという。梵天は、必ずこの世界に目覚めたいという人はいるという。そのとき、悟ったお釈迦様に不安と苦しみが生じた。すべての生きとしいけるものは、みんな平等で価値があるものだという悟りを一人で抱えて死んでいくことはむなしいことだ。ほんとうにいいものは、誰かにすすめたいとおもわないか?人間にはそういうものが備わっている。
慈悲 あらゆる人に目覚めて欲しいという気持ちが生まれた。それによってお釈迦様は悟りに入っていくことをやめて、迷いの世界にとどまる。
梵天は、わたし。人類代表のわたし。
本当のことが知りたくてきている自分。お聴聞にくる自分。梵天と同じ事をしている。

わたしたちは、生死の世界を繰り返してきた。今度こそ本当の世界を知るんだと思ってきても、生きているうちに大事なことを忘れてしまう。

お釈迦様は悟りの世界の一歩手前にとどまって、わたしたちと同じ世界にとどまった。生きている間、いろんな事で迷って苦しんだ生き方を見せた。迷いの姿でしかわたしたちに伝わらないから。

お釈迦様のこの声聞から菩薩への転換は、如来になったということだ。悟りの世界にはいらないということがどれだけ大変なのか、自分は知る由もないけど、何度も聞いているうちに感じることはある。

 

「青き色には青き光、黄なる色には黄なる光、赤き色には赤き光、白き色には白き光あり。微妙香潔なり。舎利弗、極楽国土には、かくのごときの功徳荘厳を成就せり。」
「舎利弗、汝、この鳥は実にこれ罪報の所生なりと謂うことなかれ。所以は何ん。かの仏国土には三悪趣なければなり。舎利弗、その仏国土には、なお三悪道の名なし。」
(『阿弥陀経』【真宗聖典】126、127頁)

地獄餓鬼畜生がいなくてみんないいひとしかいないといったら、おかしい。よく見たら、三悪道の「名」がないと書いてある
差別は名前から始まる。同じ人間にラベルを貼る=名をつけることで差別が始まる。
三悪道を区別する名がない。

生まれ変わり死に変わりしてきたことを考えると、ここにいる犬が自分の親兄弟や親戚、友人だったかもしれない。この世界にいる人とつながっていた。そういうつながりのあるすべてのものと合っていけるのが浄土。
でも、知っている人でないとイメージできない自分。よくよく考えたらこういうことがわかる。

共命鳥 お互いの頭が交代で起きている。片方の頭が美味しいものを食べた。胃袋は一緒だからもう一つの頭も食べたことになるだろう。怒ったもう片方の頭は毒を食べた。そしてその毒が回って両方死んでしまった。
人の深い迷いを顕している。夫婦や兄弟でこういうことはないか?相手のためにと思って傷つけたり、相手を傷つけようとして自分が傷ついたり。
鳥が浄土でわたしに説法している。

素晴らしい世界をいったん生まれたいところとして説くが、よくよく読んでいったら、いまわたしを目覚めさせるためのはたらきだということがわかる。

意味がある。意味がなくては理解が出来ない自分。ほんとうに『阿弥陀経』はなにがなんだかわからなかったが、こうやって聞くとすごいお経なのだと感じる。

舎利弗=声聞第一 ひとりぼっちで悟っていく。これに悩んでいた。お釈迦様は迷いの世界にとどまった。声聞に墜ちたら、地獄に落ちるより質が悪い。如何しても抜けられない。
『阿弥陀経』には声聞、菩薩(みんながすくわれることが、わたしがすくわれることがみんながすくわれること)がたくさんいると書いてある。
菩薩 すべての人がすくわれるまで、わたしはすくわれないというのが仏教のすくい
声聞 わたしがすくわれた!というところから一歩も出られなくなった。

お釈迦様は、舎利弗に、浄土にはお前みたいな声聞がいっぱいいる。みんなを救おうとして修行している菩薩もいっぱいいる。救われずに迷うことを選んだ人たちがいっぱいいるんだ。そして声聞と菩薩の差別も一切ないんだ。
教えてもらって、おまえ、こっちにこいよと菩薩がいってくれないと声聞は破られることが絶対ない。
舎利弗よ、そういうひとと一緒に求めていける世界があるんだ!!!

ぼくらだってひとりですくわれて行きたい。わたしひとりが救われたいという思い。人間は自分の為にしか何も出来ない。誰かのためにも自分のためなんだ。

「小慈小悲もなき身にて
  有情利益はおもうまじ
  如来の願船いまさずは
  苦海をいかでかわたるべき」
(『正像末和讃』愚禿悲歎述懐5【真宗聖典】509頁)

親鸞聖人は「小慈小悲もなき身にて」わたしは菩薩道をあゆみたかったけど、まったくあゆめなかったとおっしゃっている。すべて自分の為。大乗仏教は、わたしのすくいを後回しにしてみんなが助かっていかなければという教え。すべてのひとがすくわれなかったら嘘っぱちだ。でもどうしても自分のすくいしか考えられない。声聞は僕らと無関係じゃない。

舎利弗は悩んでいた。お釈迦様は、たくさんの人と求めていくんだと呼びかける。みんなであゆむんだ。声聞も菩薩もいっぱいいて、励まし合っていけるんだ。お前が求める姿がみんなを目覚めさせていく道がある。あなたの歩む道をたくさんの仏がまもってくれるんだ。
まわりの人を助けて自分だけ迷いの世界に残るなんてこんな恐ろしいことはない。でも宇宙の仏さまがみんなお前をまもってくれる。大丈夫だよ。(弘誓の鎧)
信じることが難しいかもしれないが、信じてくれ。

舎利弗はだんだんお話を聞いていて、迷いの世界で迷いの姿で真実を顕すことがわかってきた。真実をしらせていくやりかただ。でもそれは恐ろしい。お釈迦様は、仏たちがまもってくれる。一緒に菩薩道をいこうと舎利弗に呼びかける。

 

すごく『阿弥陀経』の話がいい。でもなんでなのかわからない。ただ言えるのは、舎利弗への呼びかけは自分への呼びかけに感じるということ。自分にまっすぐに呼びかけられている。弘誓の鎧を着ることが出来ると。二河白道で「行け!」といっているお釈迦様、そして大丈夫だというお釈迦様。いろんなことを一度に思うのだ。
舎利弗よと呼びかけるお釈迦様は、善友なんだ。

 

◆『阿弥陀経』の法話

 

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