『宗教の授業』大峯顯 法藏館
久しぶりに大峯師の本を読む。
自分の感想だと大乗仏教をベースにというより西洋哲学と仏教の共通項のような中間地点から見ている感じがした。
浄土教について書かれているところもあるが、分量的に大分すくない。むしろ大峯師が大峯あきらとして活躍されていた俳句を中心に日本人の自然観を詩的表現から考察されるところは厚い。親鸞聖人はやっぱり和讃は作られているけど和歌じゃないよな。
個人的には「聖と俗」のところが面白いと思った。ここも仏教としては菩薩について触れていたのが短すぎてもっと読みたいと思ったが、西欧についての神話から一神教、道徳と聖なるものなど、時代時代においての考え方の違いが興味深かった。すべての宗教や一般的宗教感に通じる話だ。
もう一つは「宗教と科学」。ここも大峯師がご専門じゃないところかもしれないが、科学によって宗教の世界観が変えられ、どう折り合いをつけていったか(折り合ってないかもしれないけど)というのは視点になるほどなと思った。宗教は世界観が大事なんだ。たしかに。その世界観を受け入れられてその世界観の中の言語(同じ仲間で通じ合うという意味)で語らうというのが前提なんだな。
自分は真宗の教えを聞いていて、この世界観にどっぷり浸かりたくないなと思うことがある。それが一番視野を狭めている気がするから。自分が広い世界に開かれていきたいと思うのと逆の方向に行ってしまうことがある。世界観って、あったらやっぱり境界ができるよな。と、最近思うのであった。
この本自体は宗教、宗教哲学全般に興味がある方にお薦め。さらにいいのが参考文献と索引。ハッと思ったら索引で探せる。これはいい。
◆大峯顯師の本