『ジャータカ 仏陀の前世の物語』松本照敬 角川ソフィア文庫
一回読んでみようと思った。
ジャータカの成立、タイプ別(動物として、人として、神として)の物語の解説。
解説も現在世の物語、過去世の物語、結びの話(オチ)とわかりやすく書かれている。
簡単に言うと、○○って困った奴だなと噂をしていたら、釈尊がやってきて、「○○がそういうことをしたのは今だけではなく、過去もそうだったのだ」と、過去世の話を釈尊が語る。そして、「(悪いことをした)Aは○○で、(いいことをした)それを諭したBはわたしだった」というフレームなのだ。
デーヴァダッタが常にみんなにひそひそ悪口言われてて、それを聞いたお釈迦様が「デーヴァダッタは昔からそうだ」っていって過去世を語るのはなんかデーヴァダッタが可哀想な感じまでする(笑)アーナンダ>サーリプッタ>モッガラーナの順番でいい脇役が与えられている気がしないでもない。
お釈迦様の時代の前からある物語との融合のようなので、こういうものもあるという気持ちで読んだけど、ちょっと「面白い」と感じてしまう。
結局つっこみどころ満載物語として面白く読んでしまっているかもしれない。
めでたしめでたしがすき、噂話からあいつは前世もそうだったという、お釈迦様がいい人で、アーナンダ始めお弟子たちがいい感じのポジションで、ディーヴァダッタが昔からひどかったと、そういう自分の心の奥底にある、こうだったら納得できる、安心できるがここにあるともいえる。
こういう「わかりやすい」物語で功徳を積むこと(どちらかというと布施推奨モード)を伝えていったのかなと思う。
仏教関連書として読んでみていいと思う。
◆仏教学的にジャータカがのってる本