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『差別感情の哲学』/中島義道

『差別感情の哲学』 中島義道 講談社学術文庫

 

 個人的に差別に関して最近考えることがあり読んでみた。「哲学」とあるのだけれど、読み進めるにつれて泥沼にはまるように引き込まれた。これは著者がどこまでも自分の心を見つめていったことが書いてあるのだ。

 障害者の人とすれ違うときに起こる自分の心の動き。すごいのは、一般化じゃなくてあくまで自分の心のこととして書いているのだ。それを自分は読むことで追体験する。そこから湧き上がる自分の感情。

 自分は差別というのはなくせないと思っている。むしろその問題に気づかないでいる状態が理想なのではないかと思っている(無関心とは違う)。著者のおっしゃるように、なかったことにするのが一番いけない。あったものを無にする「無化」。

 とにかく、はっきりすっきり頭が整理できました!みたいな読後感では決してない。自分はどうなんだというのを考え続ける。頁をめくるごとにさっき思っていた自分が「これでいいだろう」と思っているところをすぐに足下すくわれてガタガタになる感じ。落ち着かない。

 著者はなにかを褒めることもしないという気持ちになるという。褒めるという事があるから褒められないものが差別される。なるほど。

 自分は自分のことを差別的な人間だと思っているが、それを上手く隠す方法を考える人間だなと思った。そしてそれがもっとも差別的なのだ。もうぐさぐさくるわ。ぐさぐさきている時点で差別的なのだ。。。もう止まんない。第三章の差別感情と誠実性は、誠実でありたい自分を見せつけてくれた。

 終章 どうすればいいのか これ一般論ではまったくなくて、この著者の差別する心の独白を開示されてあなたはどうだといわれているようなもんなのだ。

”差別感情に真剣に向き合うとは、「差別したい自分」の声に絶えず耳を傾け、その心を切り開き、抉り出す不断の努力をすることなのだ。こんな苦しい思いまでして生きていたくない、むしろすべて投げ打って死にたいと願うほど、つまり差別に苦しむ人と「対等の位置」に達するまで、自分の中に潜む怠惰やごまかしや冷酷さと戦い続けることなのだ。”

 これは、一生終わらないな。

 差別に向き合うということがどういうことか考えるならばこの本をお薦めする。

 

◆差別問題に関するレビュー

luhana-enigma.hatenablog.com

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