『哲学の仕事部屋から 花月のコスモロジー』大峯顯 法藏館
哲学者・俳人・僧侶である大峯師のエッセイ集。
前半半分は俳人の視点から。実は祖父が俳人。句集出してる。趣味の範囲だろうけど。でも自分には一切その才能がない。
高校の時に全然目立たないやつが、すごい句を詠んだ。全然わからない自分でも、これはすごい!と思うものだった。当時の国語の先生(俳句好き)がほめるどころか嫉妬の思いに駆られている感じだった...。
ぐらいの経験しかないのだけど、季語を中心とした言葉で一つの世界を現すと言うのはなんとなくわかる。そしてそれは詠む本人が作り出すのではなくて、多分あるものに言葉を合わせて行くという感じなのだろうか(それがセンス)。
紹介されていた村上鬼城の句が目に止まる。
”冬蜂の死にどころなく歩きけり”
なんとなく。
後半は仏教、哲学に関してのもの。大峯師の本に出てくる「本願海流」に気がついた瞬間のお話が読めてうれしい!
思惟、ニヒリズム、鈴木大拙…。短くも自分に刺さるエッセイ。いろいろてんこ盛りでとてもいいと思う。楽しく読めた。
大峯師の法話の録音を聞いたり、本を読んだりするが、このエッセイを読むことでぐっとご本人の考えていらっしゃった事に近寄れた気がする。あくまで気がするだけだが。
◆大峯師の本