『ツァラトゥストラはこう言った』 ニーチェ 氷上英廣訳 岩波文庫
『善悪の彼岸』『道徳の系譜学』を読んだ後だったので、まだ理解はしやすい土台は出来ていると思う。ツァラトゥストラを主人公とした物語的進行で面白い。ただ、自分がそのニーチェの意図する表現ど真ん中を訳から読み取れているかというと全然だとおもう。面白いのだけどこんなに読んでいてわからんなと思うのは久しぶりなのだ。
苦悩する者にとっては、おのれの苦悩から眼をそらせ、自分を忘れるのは陶酔に似たよろこびである。かつてわたしには、この世界には陶酔に似たよろこびであり、忘我であると思われた。
上巻の中心は「超人」なのだ。神が死んだ後の必要な超人。おすすめは先に訳者のあとがきを読んでから読むこと。それが一番ブレない気がする。
下巻はまた面白い。ツァラトゥストラが悲鳴が聞こえたのでその原因を探りに行く途中に会う人々。
みんなツァラトゥストラの洞窟に集結するのだが、最後の方は盛大な演劇的雰囲気の中で「永遠回帰」が語られるのだ。うーん。むずい。これは自分にはむずかしい。というのも、多分自分がこの「永遠回帰」をそういう考えもあるだろうとは思いつつ、受け入れられないタイプだからだ。この辺りがショーペンハウアーは好きだというところと関係があるのかもしれない。
こちらも最後の訳者解説を読んでから本文にいくことをおすすめする。
ニーチェの『ツァラトゥストラはこう言った/かく語りき』はいろいろな訳があるようだが、そのあたり自分に合ったものを探すのも一つかもしれない。
今回わかったけど、自分はあまりニーチェさんとは合わない。
◆ニーチェシリーズ