如是我我聞

仏教書、哲学書、お聴聞の記録をつけています。

読む目的によるかな・・・ 『言葉・狂気・エロス 無意識の深みにうごめくもの』丸山圭三郎

『言葉・狂気・エロス 無意識の深みにうごめくもの』丸山圭三郎 講談社学術文庫

 ソシュール研究の第一人者だった方の著書。30年前か。当時としては衝撃的な感じのないようだと思うのだが、時流に合った内容にしているためにどうしても古さというか時代感覚のずれを大きく感じざるを得ない。ちょっと残念。

 おそらくソシュールから入ってこれを読まれた方は唸るような今に活きたものを感じられるのだろうけど、門外漢から来た自分は多分この良さがわかっていないのじゃないかと思う。書かれた当時を思い浮かべながら読むとわからんでもないのだけど。

 気になったところをピックアップ。

人種差別、民族差別、性差別にその典型を見る表層文化の〈差別〉とは、ヒトという種の多様な質的差異のダイナミックスが、無根拠な構造的同一性と差異の枠に括られて物化した形態のことである。

 

私たちが消費している物は、必ずしも食品・衣服といった有用品とは限らず、むしろ無形の〈気分〉である場合が少なくない。

うわ。なんかわかる。買う物は〈気分〉という記号。

 ソシュールを知らなくても知的興味で読むことも出来る。自分はソシュール読んでからの方がよかったかなと感じた。シニフィアンとシニフィエの感じをちゃんとわかるにはその方がいいかなと。