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西田哲学の変遷を見た! 『西田幾多郎の生命哲学』檜垣立哉

『西田幾多郎の生命哲学』檜垣立哉 講談社選書メチエ

 

 西田幾多郎は『善の研究』がすごくよかった。絶対無に関する解説的な本も読んだのだけど、この本は西田幾多郎の語ることの変遷を田辺元、九鬼周造などの哲学者の視点、先人としてのドゥルーズ、ベルクソンの語ることとの比較などがあり、自分なりの読み方で読んでいたことがちょっとずれていたかも、思い込んで読んでいたかもという気づきになった。

 純粋体験に関してはフィーリングで理解していたけど、言語化して解説されるとなるほどと思う反面、頭の中ですり抜けていってしまうのは自分が身で理解するタイプだからだろうか。。。単に理解力が低いだけなのだな。

 著者の檜垣氏が哲学の道に入られた経緯がすごい。高校の数学の先生が西田幾多郎のお孫さんで、その方が書かれた西田幾多郎についての本を読んでここまで来てしまったという・・・。なんという縁なんだろう。

 いわゆる京都学派に直接関わる方じゃなくて、西田幾多郎をオタク的に客観視しまくる感じがいい。そこには整然とした矛盾や甘いところへの指摘もあってなかなか面白い。生命哲学やるなら西田にはエロスが少ない!とかマジかよと思いながらもまあそうだと。生命哲学ってなまなましいところにまでいくのだな。いやはや自分の深掘りがいいこちゃんすぎたなと思う次第。

 西田を知るならベルクソンとドゥルーズを読まなくてはいけないのはわかった。微分で論理展開しているところもすごいなあと思った。数学も必要なのか・・・。

 西田幾多郎の思想に出てくる有名な言葉について知るのであれば、その思想の流れ、変化も含めて書かれているのでおすすめである。でもいずれにせようちの本棚にある西田幾多郎全集を読むのだ。最大の積本。