如是我我聞

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本光寺 歎異抄を読む(27)(瓜生崇師)

2022年12月12日(月)19:30~21:00

『歎異抄を読む』27 第五条 本光寺

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「親鸞は父母の孝養のためとて、一返にても念仏もうしたること、いまだそうらわず。そのゆえは、一切の有情は、みなもって世々生々の父母兄弟なり。いずれもいずれも、この順次生に仏になりて、たすけそうろうべきなり。わがちからにてはげむ善にてもそうらわばこそ、念仏を回向して、父母をもたすけそうらわめ。ただ自力をすてて、いそぎ浄土のさとりをひらきなば、六道四生のあいだ、いずれの業苦にしずめりとも、神通方便をもって、まず有縁を度すべきなりと云々」(『歎異抄』【真宗聖典】628ページ)

第四条の復習も含む
私たちの慈悲
 ボランティアをよかれと思ってしていたことが望まれていなかったという女子大生の話。
あわれみは自分より相手を下に置く
 仏法を喜んでいる人がそうでない人を見下していく。
 還相回向:本当は共にすくわれがたき身であるが、仏になる者として敬っていく。
自分が軽蔑するような人が仏さまかもしれない。

わたしたちのやり方で本当に他者をすくえないというのは本当にそう思う。自分は純粋な気持ちでと思っても、どこかで「感謝」「気に留めてもらう」というようなことの見返りを見返りを求めていると思う。

父母の孝養:追善供養。自分の功徳を回向して父母を助けていく。
・仏教は自業自得なので自分のしたことは自分に返ってくる。そういうことが出来るのは一部の恵まれた人。いまから比叡山に行って修行するのは無理。
回向文:願以此功徳、世尊我一心 お経を読んだ功徳を他者に振り向けている。
・熊谷直実と平敦盛の話。
 出家して蓮生坊となる。九条兼実との話。熊谷に向かうときに西を向くために馬に後ろ向きに乗る。
「浄土にもがうのものとや沙汰すらん、西にむかいてうしろみせねば」
有情:植物が入らない感じがするが、実体を表わしていないので衆生と訳す様になった。古い表現。
あらゆる生きとし生けるものはすべて自分の父母だったのではないか
・本来の仏教は親孝行をとかない。厳しい親鸞聖人の言葉。あらゆるものをすくっていくのが仏教なのに、自分の親のために念仏するのはおかしくないか。つきつめたら一切衆生の為に念仏申していかなければならない。今生きているときはできない。
(善鸞義絶のことが頭にあるのでは)
家族をすくえなかった苦しみ(子どもである善鸞を義絶する)
 自分の血のつながった者への執着があるのが自分なのにそれすらもできない。すべての生きとし生けるものなんてとんでもないとなるよなあ・・・。

念仏は不回向(法然上人):浄土のはたらきがわたしを目ざますためにわたしに回向された。念仏。覚りの世界のはたらきが南無阿弥陀仏としてわたしに届いているのだ。
・輪廻の世界から浄土の世界に南無阿弥陀仏を善行功徳として行くのであれば父母を助けることも出来るかもしれないが、それは自力だ。念仏は自力ではなく他力。
 念仏は阿弥陀仏がわたしをすくうためにわたしにさしむけてくれたもの。
 南無阿弥陀仏の主語は阿弥陀さん。わたしをすくおうとするはたらきがわたしに聞こえている。
 父母を助けるなんてどうやって成立するのだ。

 南無阿弥陀仏はきこえて助かる
 称えて助かるはわたしが出てくる。きこえてははたらきによるもの。
 
 親のため、子のため。そういうお話を聴くと、自分の中にそういうものがないわけではないのだけれど、完全にそうできていない、思えていない自分が見えてきて苦しい。そういう「普通」で語れないところでの苦しみを持っている人間からすると話しを聴いていても自分の有り様に落ち着かなくなる。本当の自分。

 本当に家族を大事にしている執着もあれば、どうにもならんところをなんとかしたいと思う執着もあると思う。なんにも思わない・・・赤の他人のように死のうがなにしようがなんともおもわない対象ではないということ。そういうものがない交ぜになった感情がある。よくなって欲しいと思いながらもなぜこうなるという怒りも起る。すべてを忘れて追善供養となるのだろうか、自分の心は。そんな単純なものではない気がいまからしている。
 大きな声ですくわれたいと叫びたいことはない。でも自分の奥底の真っ暗闇な所が、「南無阿弥陀仏をきいてすくわれる」というところに安心して絶望している。こころが軽くなったりありがたくなったりはしないけど、このことをきくのだ。「ききたい」というのともまたちがうものが自分の中にある。

 

◆本光寺の法話メモ

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