『真宗悪人伝』 井上見淳 法藏館
浄土真宗本願寺派の出版社の出している『季刊せいてん』に連載されていたものとのこと。
世間一般の善悪というのとまた違った意味での「悪」人として真宗に触れていれば当然知っている親鸞聖人を始めとして現在までに真宗に関わってきた人たちのいい話だけじゃない姿をドラマティックに見せてくれている。印象に残ったものを。
「善信房親鸞」
自分の思い描く親鸞聖人はなんとなく法然上人のところに集う人たちの多くとは仲良く出来てなかった感じがするので、ここに書かれている親鸞聖人はちょっとできがいいなと感じる(笑)
「熊谷直実」
敦盛との話は小学生の頃から知っていたけどこんなその後があったというのは真宗にであってからだったのでこんなこんなことになっていたとは!!!
「慈信房善鸞」
自分は親鸞聖人の嘆きの方向でばかりきいてたけど、そうか善鸞の方からみたら別の哀しみを感じた。義絶後の真宗の人が見かけたエピソードとかぐっとくる。
「唯善」
これ読んだら、血がつながっていることがなんぼのもんなのかというのを思ってしまう。
「智洞」
三業惑乱について改めてみるとこういうことかと。それにしてもみんな熱い。出てくる人みんな熱すぎる。教えについてなのにそこに師恩が入るとおかしくなる。人間てめんどくさいけどそこがいいと思ってしまう。
「金子大榮」
最近ぽつぽつ読んでいるのだけどこんなに哀しくいろいろなことがあったのだな。
ここに出てきた赤沼智善師、古本、迷ってたけどポチってしまった。そして棚にある父からもらった梅原真隆師の本も読まなくちゃ。積んでる清澤師、曽我師の本も・・・。
多分ただ仏教全般に興味がある人が読んでも面白いと思うが、真宗に触れた人が読むと格段に面白みと深みが違うと思われる。人間ってやっかいですなあ。
正直に言うと、最後に行くほどいい。