『おらおらでひとりいぐも』若竹千佐子 河出文庫
第158回芥川賞受賞作品(2017年下期)
こちらAudibleで聞いた。
とうほぐべんの素晴らしい音読だった。ひょっとしたら本で読むよりいいのかもしれない。桃子さんの頭の中の声がどう聞こえているか想像しながら聴いた。
結論としては、エンディング辺りを朝の通勤電車で聞いてきて涙が出てきてしまうということになる。
70歳の女性が老いの真っただ中で、なにも間に合わない、自分の身の回りのこともその場その場でなんとかしているだけの生活で、自分の人生をたまに思い出し、今と結びついて見えてを繰り返している姿。
なんとなく、自分も母もこういうことを感じながら今いるのかなと思う。
自分はこんな風に感じるのはまだまだ先なのかもしれない。でもそういう老いを受け止め、死を見つめることはもう遠い先の事ではない。いまも少しずつ、そうなっているのだ。
人間が生きることの厳しさ、苦しさ、辛さを桃子さんを通して自分の身の上で思い出し、それでもいま、こうして生きているねと桃子さんを通して自己点検するような本。それぞれ読む人の人生を本と一緒にああ、こんなこともあったとたどりながら読み進める本。
桃子さんの生死観、宗教的感覚の変化もとても共感できた。
生きていることを認識したら、涙が出てきてしまったんだ。
男女問わずすべての人におすすめ。
◆芥川賞 温かい気持ちになる系
