如是我我聞

仏教書、哲学書、お聴聞の記録をつけています。

『仮想儀礼』篠田節子

『仮想儀礼』篠田節子 新潮文庫

 NHKのドラマを見て面白くて原作を読んでみた。

 ドラマは原作とは全くの別物だな。視点を変えて宗教を見る良いドラマだと思う。

 原作は、上巻を面白く読んでいてからの、下巻のスピード感と底なしに転げ落ちていくようなストーリー。久しぶりに身体にダメージがくる本だ。
 解説に、「確かにこれは人間喜劇であって、しかも同時に身の毛もよだつ恐怖小説にもなっているのである」とあった。本当にその通りだと思う。
 宗教を自分がどう見ているか、中から、外から、そういうのを炙り出され、信仰という人間の行為に畏れを感じる。自分は第三者的に宗教を「うさんくさい」と思っている。そして浄土真宗の中にいる自分が「集団の中の正しさに引っぱられているかもしれない」という恐ろしさを感じる。なんだこれは。

 そして結末がもう…(絶句)。
 ぜひこの身体にくる読書体験を。