『構築された仏教思想 龍樹 あるように見えても「空」という』石飛道子 佼成出版社
タイトルに惹かれてKindle Unlimitedで読んだ。
聖典で『十住毘婆沙論』を読んだことはあるのだけど、まさに文字を追っただけ。あとは中村元氏の『龍樹』を読んだ。これは『中論』の訳もあってすごい読み応えだった。だが全体的な龍樹とは、どういった人物なのかというのは情報が多いと自分が捉えきれなくなっていて、この本ぐらいがとてもちょうど良いように感じた。
龍樹菩薩となぜ呼ばれたのかということがじわじわ伝わってくる。相手に合わせて議論…よくよく見ると論争はしてない。なんというか、頭の良さがすごくてそのすごさを自分が理解できない感じ。
菩薩の死とは、声聞、辟支仏の階梯に入ることである。なぜなら、声聞、辟支仏として、涅槃に到達してしまうなら、ブッダとなって人々を救うことはできないからである。菩薩が解知すべきところ、それは大悲である。そしてまた、それは菩薩の根である。衆生を憐れむ大悲の心が失われると、菩薩の根は断たれてしまう。
菩薩行の推進力は、強い意志の力「願」に支えられている。
これ体現してるよなあ。
ざっと龍樹の思想を掴みたいときにはとてもいい本だと思う。
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