『テスカトリポカ』佐藤究 角川文庫
第165回直木賞受賞受賞作品(2021年上期)
読み始めてしばらく、あまりに凄惨な描写が続くものだから読み進められなくなってしまった。コシモが大事件を起こしたあたりから一気に読むのが止まらなくなった。
これは社会問題をにじませている作品なんだろうと思うが、自分は信仰の物語に比重を置いて読んでしまった。
自分が信じる神。どのように信じていくのか。家族、そして歴史というものが信仰を紡いでいくのだなと感じ入った。アステカの神々にとても興味を持った。宗教といっても全然自分たちの想像しているものと違うようだ。
よくぞ文化の違う人を描き出したもんだなと思う。倫理観も何もかもが違うのに。そして漫画ならいざ知らず、「怪物」と表現したくなる登場人物たちを本当にリアルに感じさせる。すごいなあ。
間違いなく面白い。
ただしスプラッタ的要素に対応できる人向き。
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