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『現代語訳 理趣経』/正木晃 男女の交わりも清浄…

『現代語訳 理趣経 (角川ソフィア文庫) Kindle版』正木晃

 

 真言宗のともだちと話していて、「『理趣経』は在家が写経してはいけないところがある。」みたいな話を聞いて、ああ、積dleにあったあったと思って読み始めたのだが、なんとこれ、男女の交わりに言及するところで有名やったんか。ノーマークだった。半額セールの時に「あ、お経だ」と思って購入していただけなのであった。。。

 後期密教の展開の説明があり、なんとなくこのお経の成立について理解した。そして最澄と空海がこれの釈本の貸し借りを巡って仲たがいしたというエピソードが胸熱である。

 ふりがなが漢音だけれども、全然頭に入ってこない…!!!いろいろ違うものなのだな…。それにしても読み方が難しいお経だ。仏の顔の表現も、美しい微笑みと憤怒の形相を同時に表されたり、最終目的のために殺戮みたいなのもOK的な表現も字面だけ見るとやばい。でもちゃんと解説してくれている。曼荼羅については初めてそのロジックを理解した気がする。

 たぶん真言宗を始めとするこのお経を比較的読まれる宗派の方には物足りないのだろうが、全く知らない、興味本位ぐらいの人にはちょうどいい解説かもしれない。難しいところは、「解説が難しいところがあるが、ここでは触れない」としっかり断言してくれているので安心して読める。

 とにかく「清浄」であるということの解釈一つが重要な感じだな。