如是我我聞

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『出家とその弟子』倉田 百三 

『出家とその弟子』倉田 百三 ※Kindleで青空文庫あり

これは戯曲であり、親鸞上人をモチーフにした創作である。全然教えも違っていて「それどこのキリスト教?」と感じるところもあるくらい。

しかしながら、自分はこれを読んで電車で泣いてしまった。

この物語の中で、いろいろヒューマニズム的に心揺さぶられるところが多々あるのだが、それは正直どうでもよい。

自分がどうしようもなく泣いてしまったのは、善鸞の存在である。この戯曲における善鸞は、父(親鸞)を愛していていること、自分に正直であること、それがままならない身であることをないまぜにした存在なのだ。この存在の根源的な苦しさを目の前につきつけられ、それを自分にも即投影してしまい、表現できないものが自分の中に押し寄せてきた。

この本を読むなら、善鸞だ。