『構築された仏教思想 一遍 念仏聖の姿、信仰のかたち』長澤 昌幸 佼成出版社
時宗のことは全然しらなかったのだが、真宗の近さと遠さを感じることができる一冊だった。
念仏の捉え方はほぼ真宗と同じような感じだと思う。ただ、実践的なところが大分違う。
一遍は死ぬときに自分の持ち物で自分が書いてるものなんかは燃やしちゃった(捨てちゃった)らしい。なので書いたものが残っていないそうだけど、それでも現代に続いているということは教えを後の人々が受け継いできたということなんだな。
印象的だったのは、戦争についていき、そこで死んでいく武将たちに念仏を称えさせて見送るという役割があったということ。亡くなった家族への連絡もしていたとか。戦争という仏法とは相いれない場所で最期に立ち会う。すごい役割だ…。
あと、一遍ののちは代々「〇阿弥陀仏」と名乗るらしく、区別がつかないことがあるとか。これ、なんだかいいと思った。誰であるかはっきりしなくていい。南無阿弥陀仏だから、ということを体現している感じがする。自分はすごくいいなと思った。
近いようで全然知らない時宗のことを知るにはとてもいいと思う。
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