如是我我聞

仏教書、哲学書、本ならなんでも。

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技術どころの話じゃない『聞く技術 聞いてもらう技術』東畑開人

『聞く技術 聞いてもらう技術』東畑開人 ちくま新書 聞く技術 聞いてもらう技術 (ちくま新書) 作者:東畑開人 筑摩書房 Amazon 「聞」の字に惹かれてタイトル買いした本。こういう本はあまり期待しないで読むのだけどとてもよかった。「聞く」と「聞いてもら…

道を行く人の姿に見えるもの『どろどろの聖人伝』清涼院流水

『どろどろの聖人伝』清涼院流水 朝日新書 どろどろの聖人伝 (朝日新書) 作者:清涼院 流水 朝日新聞出版 Amazon 上馬キリスト教会の本を読んでいたので、他の同系列っぽいのを選んでみた。 これ真宗で『どろどろの上人伝』とか書いたら絶対怒られる奴だろう…

焦点が面白い『経典はいかに伝わったか 成立と流伝の歴史』水野弘元

『経典はいかに伝わったか 成立と流伝の歴史』水野弘元 佼成出版社 経典はいかに伝わったか 成立と流伝の歴史 作者:水野 弘元 佼成出版社 Amazon 友人のSNSで見てKindle Unlimitedだったの読んでみた。 経典がどうやって伝わっていったかということにフォー…

やっぱり縁なんだよね『婚活マエストロ』宮島未奈

『婚活マエストロ』宮島未奈 文藝春秋 婚活マエストロ (文春e-book) 作者:宮島 未奈 文藝春秋 Amazon 『成瀬』シリーズを読んでいたので外れはないと思っていたけれど、文句なしに面白かった。 読ませるスピード感がすごい。それでいて人物描写がすごい。 懐…

退屈を経めぐる自分『暇と退屈の倫理学』國分功一郎

『暇と退屈の倫理学』國分功一郎 新潮文庫 暇と退屈の倫理学(新潮文庫) 作者:國分功一郎 新潮社 Amazon タイトルからしてなんかエスプリの利いたなにかの話かと思ったら、ざっくり自分の身に染みてとんでもない本だった。 退屈というのは以下のような分類…

良入門書!『華厳経入門』木村 清孝

『華厳経入門』木村 清孝 角川ソフィア文庫 華厳経入門 (角川ソフィア文庫) 作者:木村 清孝 KADOKAWA Amazon 『仏教の思想』シリーズの華厳は読んだものの理解が乏しいため入門書に頼る。 今まで聞きかじってきていた八十華厳とか六十華厳と構成が整理された…

えぐられる!!『坂の途中の家』角田光代

『坂の途中の家』角田光代 朝日新聞出版 坂の途中の家 作者:角田光代 朝日新聞出版 Amazon これ、すごい本だった…。 自分をえぐられる。深掘りしすぎて不安定になるくらい。 読む人間の経歴によって違ってくると思うのだけど、子供がいる人は本当に読むのが…

終わってほしくなかった『背教者ユリアヌス(四)』辻邦生

『背教者ユリアヌス(四)』辻邦生 中公文庫 背教者ユリアヌス(四) (中公文庫) 作者:辻邦生 中央公論新社 Amazon 終わらないでほしかった。もう4巻に差し掛かったところで終わりが近づいているのがわかるのであるが、もうこの物語が続いてほしい、ユリアヌス…

運命に翻弄される!『背教者ユリアヌス(三)』辻邦生

『背教者ユリアヌス(三)』辻邦生 中公文庫 背教者ユリアヌス(三) (中公文庫 つ 3-27) 作者:辻 邦生 中央公論新社 Amazon (二)の30%くらいから止まらないのである。 いよいよ運命に翻弄されユリアヌスが起つ!面白い。ひたすら読んだ。 どこがそんなに…

人間の信仰とは『背教者ユリアヌス(二)』辻邦生

『背教者ユリアヌス(二)』辻邦生中公文庫 背教者ユリアヌス(二) (中公文庫 つ 3-26) 作者:辻 邦生 中央公論新社 Amazon 二巻に入ってますますページをめくる手が止まらない。 成長したユリアヌス。兄ガルスの運命はユリアヌスの行く末も巻き込んでいく。…

体温を感じる記録『侍従長の回想』藤田尚徳

『侍従長の回想』藤田尚徳 講談社学術文庫 侍従長の回想 (講談社学術文庫) 作者:藤田尚徳 講談社 Amazon なんとなく読んでみたくなってタイトル買いをした。 第二次世界大戦終戦時の昭和天皇の侍従長の記録。1年半ほど。 いよいよ日本の敗戦が色濃くなってき…

人物描写が精緻!『背教者ユリアヌス(一)』辻邦生

『背教者ユリアヌス(一)』辻邦生 中公文庫 背教者ユリアヌス(一) (中公文庫) 作者:辻邦生 中央公論新社 Amazon 全4巻読み切ってから投稿しようかと思ったけどとてもよかったので黙っていられない。 この本はローマ皇帝で一度公認されたキリスト教を否認…

今読むべき!『バチカン近現代史 ローマ教皇たちの「近代」との格闘』松本佐保

『バチカン近現代史 ローマ教皇たちの「近代」との格闘』松本佐保 中公新書 バチカン近現代史 ローマ教皇たちの「近代」との格闘 (中公新書) 作者:松本佐保 中央公論新社 Amazon 映画『教皇選挙』を見に行った後、教皇フランシスコが亡くなった。 その縁によ…

ユーモアとは『いたずらの問題』フィリップ・K・ディック

『いたずらの問題』フィリップ・K・ディック ハヤカワ文庫SF いたずらの問題 (ハヤカワ文庫SF) 作者:フィリップ K ディック 早川書房 Amazon 今年はフィリップ・K・ディック読破を目指していたのだけど、まあ偏りすぎるなあと思い、たまに読み進めることにす…

長い歴史!『ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで 』鶴見太郎

『ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで 』 鶴見太郎 中公新書 ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで (中公新書) 作者:鶴見太郎 中央公論新社 Amazon キリスト教とユダヤ教の関係とか、ガザで起き…

聖書に出てくる人たち大集合『上馬キリスト教会ツイッター部の世界一ゆるい聖書教室』

上馬キリスト教会ツイッター部の世界一ゆるい聖書教室』 MARO (著), LEON (著) 講談社 上馬キリスト教会ツイッター部の世界一ゆるい聖書教室 作者:MARO,LEON 講談社 Amazon 前作と違っているのは、聖書に出てくる人にスポットを当ててその人…

コロナと宗教『逆襲する宗教 パンデミックと原理主義』小川忠

『逆襲する宗教 パンデミックと原理主義』小川忠 講談社選書メチエ 逆襲する宗教 パンデミックと原理主義 (講談社選書メチエ) 作者:小川忠 講談社 Amazon これはまたすごい視点から書かれている。 各宗教がパンデミックでどういう対応をしたか、そして各国の…

自分の中にまったくないわけじゃない要素『コンビニ人間』村田沙耶香

『コンビニ人間』村田沙耶香 文藝春秋 コンビニ人間 (文春文庫) 作者:村田 沙耶香 文藝春秋 Amazon 第155回(2018年)芥川賞受賞作品。 7年前かあ。それならばこの価値観に苦しむというのもわかるな。 ひょっとしたら今の若い人にはピンとこないかもしれない…

静かな信仰告白『新しい仏教のこころ わたしの仏教概論』増谷文雄

『新しい仏教のこころ わたしの仏教概論』増谷文雄 講談社現代新書 新しい仏教のこころ わたしの仏教概論 (講談社現代新書) 作者:増谷文雄 講談社 Amazon これね、約半世紀前が初版なんですよ。 『仏教の思想』シリーズの著者のひとりでもある増谷先生のお名…

やっぱり孔明がすごい『柴錬三国志 英雄・生きるべきか死すべきか』柴田錬三郎

『柴錬三国志 英雄・生きるべきか死すべきか』柴田錬三郎 講談社文庫 柴錬三国志 英雄・生きるべきか死すべきか(上) (講談社文庫) 作者:柴田錬三郎 講談社 Amazon 柴錬三国志 英雄・生きるべきか死すべきか(下) (講談社文庫) 作者:柴田錬三郎 講談社 Ama…

胸熱!!!『三国志 英雄ここにあり』柴田錬三郎

『三国志 英雄ここにあり』柴田錬三郎 講談社文庫 三国志 英雄ここにあり(上) 三国志英雄ここにあり (講談社文庫) 作者:柴田錬三郎 講談社 Amazon 三国志 英雄ここにあり(中) 三国志英雄ここにあり (講談社文庫) 作者:柴田錬三郎 講談社 Amazon 三国志 …

必読『宗教規制: 宗教虐待と政治の関係からみえる規制のありかた』宗教規制問題研究会

『宗教規制: 宗教虐待と政治の関係からみえる規制のありかた』宗教規制問題研究会 総合教育出版 宗教規制: 宗教虐待と政治の関係からみえる規制のありかた 作者:宗教規制問題研究会 総合教育出版株式会社 Amazon 旧統一教会への解散命令云々の前に、日本の宗…

ここから吸血鬼ブームが始まった!『ドラキュラ』ブラム・ストーカー

『ドラキュラ』ブラム・ストーカー (著), 唐戸 信嘉 (翻訳) 光文社古典新訳文庫 ドラキュラ (光文社古典新訳文庫) 作者:ブラム・ストーカー 光文社 Amazon 告白しよう。 めちゃくちゃ吸血鬼モノが好き。 どれだけ好きかというと、映画の『インタビュー・ウィ…

なぜか惹かれる『ゴッホのあしあと』原田マハ

『ゴッホのあしあと』原田マハ 幻冬舎文庫 ゴッホのあしあと (幻冬舎文庫) 作者:原田マハ 幻冬舎 Amazon 実は昨年からゴッホにはまっている。 原田マハの『たゆたえども沈まず』を読んで映画の『永遠の門ーゴッホの見た未来』を観てから気になってたまらない…

今に通じるお話『浄土真宗とは何か―『教行信証』のこころ―』金子大榮

『浄土真宗とは何か―『教行信証』のこころ―』金子大榮 真宗文庫 浄土真宗とは何か 浄土真宗とは何か―『教行信証』のこころ― (真宗文庫) 作者:金子大榮 東本願寺出版部 Amazon 軽い気持ちで読み始めたのだけれど、現代の真宗門徒に突き刺さるお話だった。 襟…

時代が変わったことを感じる『春宵十話』岡潔

『春宵十話』岡潔 角川ソフィア文庫 春宵十話 (角川ソフィア文庫) 作者:岡 潔 KADOKAWA Amazon 数学者のエッセイ。自分の生まれる前に流行ったらしいということでちょっと読んでみた。 うーーーん。エッセイってその人の感性を感じたときに共感したり、いい…

一回『涅槃経』読んでから読むのもあり『涅槃経入門』横超慧日

『涅槃経入門』横超慧日 法藏館文庫 涅槃経入門 (法蔵館文庫) 作者:横超慧日,下田正弘 法藏館 Amazon 法藏館文庫を読むシリーズ2冊目。 実は恥ずかしながら横超慧日先生のお名前は知っていたのだが(だって目にするだけでお経読んでるみたいなありがたさ)、…

ディック最初の長編『偶然世界』フィリップ・K・ディック

『偶然世界』フィリップ・K・ディック ハヤカワ文庫 偶然世界 (ハヤカワ文庫SF) 作者:フィリップ K ディック 早川書房 Amazon 今年はフィリップ・K・ディックを書かれた順に読むということを個人ミッションとしている。 ディック初の長編で1955年の作品。 S…

美しく難解だった『無神論』久松真一

『無神論』久松真一 法藏館文庫 無神論 (法蔵館文庫) 作者:久松真一 法藏館 Amazon ちょっと前に読んだ八木誠一氏の本に久松真一氏を讃える文があり、積本にあったこの本を読むことにした。 とても美しい文章であるが難解だった。 「無神論」 有神から無神に…

宗教者のなれの果て!?『虚の伽藍』月村了衛

『虚の伽藍』月村了衛 新潮社 虚の伽藍 作者:月村了衛 新潮社 Amazon 2024年直木賞候補作品。 仏教関係の小説ということで友人にすすめられて読んでみた。 いやいやこんな反社と関わっていくところがあるとは思えんなあというものすごいストーリー展開なのだ…