如是我我聞

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『浄土真宗とは何か 親鸞の教えとその系譜』小山聡子

『浄土真宗とは何か 親鸞の教えとその系譜』小山聡子 中公新書

 他力の教えを説いた親鸞聖人。そしてそれを伝えてきた人たち。が、史実的にどこまでその教えの通りだったのかということを検証している。

 やはり人間である。阿弥陀一仏であるはずだし、死ぬときの姿なんて全然関係ないはずなのに、実際当時生きている中にあっては完全にそうではなかったということだな。そして違う文化の中に生きているだけに難しいのだろう。臨終の際に念仏して西を向いて穏やかに死んで奇瑞があると、それが理想だったんだなあ。

 親鸞聖人の教えを恵信尼や子孫たちが完全に理解し実行していたと思いたい(理想)だけどそうでないというのが浮き上がってくる。蓮如上人のお陰で今自分が真宗の教えを聞いているのだと思うが、広めるために民衆への教化の際には難しくしないように「化」については言及されていなかったことなどなるほどだ。

 親鸞聖人を神聖化、スーパーマンのようにしてしまいがちだけれど、どこか冷静にこういうことを踏まえて考える余地をもたなくちゃいけないなと感じた。親鸞聖人も、伝えてきて下さった方々も、みんなその時代を生きた人間なんだな。歴史学ってすごいな。客観的な資料からこういうことが読み解けるんだな。

 

◆歴史の視点から「はっ!」とする本

luhana-enigma.hatenablog.com

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