『私生活』神吉拓郎 文春文庫
第90回直木賞受賞(1983年下)
17編の短編集。どれも大事件は起こらない。日常の中に潜んでいる「わたし」という世界でのびっくりするような体験。でも事件ではない。
たまに思うが、有名になった人の人生は、驚きと奇跡に彩られているように見えるけれど、実は自分にだって、傍から見たらドラマティックになりうる出来事があったりするものだ。なにげなく友達や同僚と話していても思う。自分にとってさほど非凡でない人の心の中に起こったすごい瞬間みたいなものはあほみたいにあって、それを他者に可視化したかどうかだけの差かもしれない。
気負わずさらっとそれぞれの短編を楽しむことができる。
一つ言っておくが、事件はほぼ起きない。
◆直木賞おすすめ
