如是我我聞

仏教書、哲学書、本ならなんでも。

2026-01-01から1年間の記事一覧

激しく推薦『熟柿』佐藤正午

『熟柿』佐藤正午 KADOKAWA 熟柿 (角川書店単行本) 作者:佐藤 正午 KADOKAWA Amazon 本屋大賞2026 第二位 何の前情報もなしに読み始めてほしい。 主人公の心の中と自分をシンクロしていってほしい。客観的に眺めるなんてことをしないでどこまでも共振してい…

読後感がいい!!!『カフェーの帰り道』嶋津輝

『カフェーの帰り道』嶋津輝 東京創元社 カフェーの帰り道 作者:嶋津 輝 東京創元社 Amazon 第174回直木賞受賞作 2025年下期 戦中、戦後すぐにかけてのカフェー西行の女給たちの姿を通し、戦争に翻弄されていく時代を力強く生きていく彼女たちの輝きを読む本…

登場人物の結末が気になる『夏物語』川上未映子

『夏物語』川上未映子 文春文庫 夏物語 (文春文庫) 作者:川上 未映子 文藝春秋 Amazon 本屋大賞2020 第7位 前半は芥川賞をとった『乳と卵』のリブートらしい。後半が主人公の8年後ぐらいになるか。 結論から言うと、登場人物のそれぞれの最後の描かれ方にな…

西欧の視点が新鮮『仏教の歴史 いかにして世界宗教となったか』ジャン=ノエル・ロベール

『仏教の歴史 いかにして世界宗教となったか』ジャン=ノエル・ロベール (著), 今枝由郎 (翻訳) 講談社選書メチエ 仏教の歴史 いかにして世界宗教となったか (講談社選書メチエ) 作者:ジャン=ノエル・ロベール 講談社 Amazon 外国の方が書かれる仏教の歴史…

一家に一冊『新美南吉童話集』新美南吉

『新美南吉童話集』新美南吉 ハルキ文庫 新美南吉童話集 (ハルキ文庫) 作者:新美南吉 角川春樹事務所 Amazon 最初に言っておく。 この本は一家に一冊あっていい。 昨年新美南吉記念館に行った。展示がとてもよくてその感動を持ち帰りたくて買ってしまった。…

その後も知れてよい『100分de名著 E・キューブラー・ロス 『死ぬ瞬間』12月』島薗進

『100分de名著 E・キューブラー・ロス 『死ぬ瞬間』12月』島薗進 NHKテキスト NHK 100分 de 名著 E・キューブラー・ロス 『死ぬ瞬間』 2025年 12月 [雑誌] (NHKテキスト) NHK出版 Amazon こちらも読了した『死ぬ瞬間』を深めるために読んで…

読む前に注意あり『ヘヴン』川上未映子

そこから離れる『ヘヴン』川上未映子 講談社文庫 ヘヴン (講談社文庫) 作者:川上未映子 講談社 Amazon 本屋大賞2010 第6位 Audibleで期間限定聴き放題だったので聴いてみた。 壮絶ないじめの表現がかなり多く出てくるのでトラウマある方は要注意。 主人公の…

ひりひりする生『ザリガニの鳴くところ 』ディーリア・オーエンズ

『ザリガニの鳴くところ 』ディーリア オーエンズ (著), 友廣 純 (翻訳) ハヤカワ文庫NV ザリガニの鳴くところ (ハヤカワ文庫NV) 作者:ディーリア オーエンズ 早川書房 Amazon 本屋大賞2021 翻訳小説部門1位 ものすごい読み応えだった。主人公が幼いときにか…

死と医療『エピクロスの処方箋』夏川草介

『エピクロスの処方箋』夏川草介 水鈴社 エピクロスの処方箋 雄町哲郎シリーズ 作者:夏川草介 水鈴社 Amazon 雄町哲郎シリーズらしいけど、本屋大賞2026の候補作品だったのでこちらを先に読んでしまった。 家庭の事情により大学病院から街の(といっても大き…

原作読んだ後にぜひ『NHK 100分 de 名著 ブラム・ストーカー『ドラキュラ』 』小川公代

『NHK 100分 de 名著 ブラム・ストーカー『ドラキュラ』 』小川公代 NHKテキスト NHK 100分 de 名著 ブラム・ストーカー『ドラキュラ』 2025年 10月 [雑誌] (NHKテキスト) NHK出版 Amazon 原作が最高に面白かったので、さらに深めて…

分人を認識することは大事『私とは何か 「個人」から「分人」へ』平野啓一郎

『私とは何か 「個人」から「分人」へ』平野啓一郎 講談社現代新書 私とは何か 「個人」から「分人」へ (講談社現代新書) 作者:平野啓一郎 講談社 Amazon これは法話で「無我」が出てくる時によく聞く話に似ている。わたしというものを構成しているのは関係…

感じ方分かれるかも『ありか』瀬尾まいこ

『ありか』瀬尾まいこ 水鈴社 ありか 作者:瀬尾まいこ 水鈴社 Amazon 本屋大賞2026候補作品 これは評価がわかれるというか感じ方が分かれるのではないだろうか。 シングルマザーの母に育てられたシングルマザーとなった主人公。あからさまに毒親なのだけど本…

人の幸せを願う気持ち『禁忌の子』山口 未桜

『禁忌の子』山口 未桜 東京創元社 禁忌の子 〈医師・城崎響介のケースファイル〉 作者:山口 未桜 東京創元社 Amazon 本屋大賞2025 第4位 これはまたすごいミステリーであった。 ブックレビューを書くのが難しい。 なぜならどこを切ってもいろいろネタバレに…

読むだけでもいい『小説』野崎まど

『小説』野崎まど 講談社 小説 作者:野崎まど 講談社 Amazon 本屋大賞2025 第3位 これは読書が好きな人にはぜひお薦めしたい。 自分は性分でブックレビューを書いているけれども、なぜ本を読むのかということの一つの答えがここにある。 前半は本好きには共…

価値観の転換『今を生きる思想 マルクス 生を呑み込む資本主義』白井聡

『今を生きる思想 マルクス 生を呑み込む資本主義』白井聡 講談社現代新書100 今を生きる思想 マルクス 生を呑み込む資本主義 (講談社現代新書) 作者:白井聡 講談社 Amazon COTENラジオでマルクス・エンゲルス回を聴いてそのややこしさとめんどくさい性格に…

現代人必読『才女の運命』インゲ・シュテファン

『才女の運命』インゲ・シュテファン (著), 松永美穂 (翻訳) フィルムアート社 才女の運命 作者:インゲ・シュテファン フィルムアート社 Amazon 偉人の陰にはそれを支えた「女性」がいる。その存在をミューズというみたいなのは見かけたことがある。この本は…

これ、願生の話!?『死んだ山田と教室』金子玲介

『死んだ山田と教室』金子玲介 講談社 死んだ山田と教室 作者:金子玲介 講談社 Amazon 本屋大賞2025 第9位 とても軽いノリで読める。死んだ山田の声が教室のスピーカーから聞こえてくる。 驚きながらも人気者だった山田はクラスメイト達に受け入れられ、奇妙…

やる気出る『勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版』千葉雅也

『勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版』千葉雅也 文春文庫 勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版 (文春文庫) 作者:千葉 雅也 文藝春秋 Amazon 大人の勉強ってどうあるべきなのかを手探りしている自分にとって刺さった一冊。 「完璧な読書はない…

ラヴ阿弥陀仏・再考

一日経って、とんでもなく腹が立っている自分がいる。「ラヴ阿弥陀仏」の企画が不快でしょうがない。あり得ない。 luhana-enigma.hatenablog.com 自分は阿弥陀仏を人間の物差しで測れるようなキャラクター(擬人化)として求めたことなんてない。お聴聞でも…

人物描写がいまいち『方舟』夕木春央

『方舟』夕木春央 講談社文庫 方舟 (講談社文庫) 作者:夕木春央 講談社 Amazon 本屋大賞2023 第7位 結構評判がよかったので期待していたのだけど、人物描写が弱いと感じた。 トリックは面白かったのだけれど、どうして登場人物がそのように考えるのかとかの…

ラヴ阿弥陀仏考

今日はしんらん交流館の日曜講演に行ったんだけど、帰りに本山前のお東さん広場でイベントをやっていた。衣姿の人がいたので行ってみた。 「ごえんさんエキスポ2026恋バナ縁日~モヤモヤがほどける恋愛僧談フェス~」とのこと。チラシに書いてある内容からす…

ラルボー書房 5分文庫 5~8

ラルボー書房の感想をまとめて。翻訳 蜷川豊 しくじったサンタさん 5分文庫 作者:スティーヴン・リーコック ラルボー書房 Amazon 『しくじったサンタさん』スティーブン・リーコック 5巻目 微笑ましい大人たちの姿。まあ自分の周りでも子供のためだと言って…

最適入門書『今を生きる思想 西田幾多郎 分断された世界を乗り越える』櫻井歓

『今を生きる思想 西田幾多郎 分断された世界を乗り越える』櫻井歓 講談社現代新書100 今を生きる思想 西田幾多郎 分断された世界を乗り越える (講談社現代新書100) 作者:櫻井歓 講談社 Amazon このシリーズ、表紙は見たことあったけど実は手を出していな…

未来について考えた『生殖記』朝井リョウ

『生殖記』朝井リョウ 小学館 生殖記 作者:朝井リョウ 小学館 Amazon 本屋大賞2025 第8位 二冊続けて朝井リョウを読んでしまった。『正欲』に続いて人間の「性欲」、何に対して欲情するか。今回は同性愛と異性愛。 自分はある人に同性愛だと告白された。さほ…

なにに欲情するのが正しいんだ?『正欲』朝井リョウ

『正欲』朝井リョウ 新潮文庫 正欲(新潮文庫) 作者:朝井リョウ 新潮社 Amazon 2022年本屋大賞4位。 これはなかなかきつい小説であった。 人間の「欲」について突き詰めていった者たちの物語。言ってしまえば性欲。何に対して性欲を持つかということ。 すご…

要再読『華厳の研究』鈴木大拙

『華厳の研究』鈴木大拙 角川ソフィア文庫 華厳の研究 (角川ソフィア文庫) 作者:鈴木 大拙 KADOKAWA Amazon 法友のおすすめで読んでみた。 『華厳経』をダイジェストレベルで知りたかったのだが、前半は禅のアプローチでどう『華厳経』に接続するかの話で真…

人生の長さと熱さ『汝、星のごとく』『星を編む』

『汝、星のごとく』『星を編む』凪良ゆう 講談社 汝、星のごとく (講談社文庫) 作者:凪良ゆう 講談社 Amazon 星を編む 作者:凪良ゆう 講談社 Amazon 期待を裏切らない。 この人は人生何周かしているのだろうか。高校生から老人と呼ばれる年齢まで、人の一生…

わかりやすい!『日本の10大カルト』島田裕巳

『日本の10大カルト』島田裕巳 幻冬舎新書 日本の10大カルト (幻冬舎新書) 作者:島田裕巳 幻冬舎 Amazon 一言でいうと、わかりやすい。 それぞれの新宗教(どっちかというとカルト宗教と呼ばれがちな宗教団体)について、成り立ち、教祖、歴史、興亡、現在の…

果たして影響はあったのか『「山上徹也」とは何者だったのか』鈴木エイト

『「山上徹也」とは何者だったのか』鈴木エイト 講談社+α新書 「山上徹也」とは何者だったのか (講談社+α新書) 作者:鈴木エイト 講談社 Amazon 湊かなえの『暁星』を読んで安倍元首相銃撃事件における犯人像というのが気になりこちらを読んでみることにし…

健康診断やめる?『人はどう死ぬのか』久坂部羊

『人はどう死ぬのか』久坂部羊 講談社現代新書 人はどう死ぬのか (講談社現代新書) 作者:久坂部羊 講談社 Amazon ちょうど会社で健康診断の話をしていて、最低の項目しかしないという人の話を聞いたところだった。この方の本を読んだ影響かもなと感じた。 そ…