『新美南吉童話集』新美南吉 ハルキ文庫
最初に言っておく。
この本は一家に一冊あっていい。
昨年新美南吉記念館に行った。展示がとてもよくてその感動を持ち帰りたくて買ってしまった。
この間初めて参加した積本消化イベントで読み始めたのだけど、とてもよくて泣いてしまいそうだった。
30歳を前にして新美南吉は亡くなっているわけだが、なぜ今も人々に愛されているのか。幼いときに絵本で『てぶくろをかいに』『ごんぎつね』を読んで、人生の中でそれを子に読むときもあった。そしていまこうやって童話集という形で新美南吉の童話に触れて、いきることの不安やさみしさ、どうしようもなさをそっと描いてくれていることに気が付く。それは大人も子供も関係なく、それを知っていて、それを知っている誰かがいることでちょっとだけホッとするのだ。さみしさはなくならないし、乗り越えなくてはいけないことは何一つ変わらず現前にあるのだけど、ああいきるってそうだねという気持ちになる。
かき乱されるのでもなく、悲しみに押しつぶされることもなく、わかりあえないけど隣にいる人間の在り方のようなものが自分の中に置かれる感じ。
大人になったあなた、ぜひ読んでみてほしい。
きっと手元に置きたくなる。
