『御影道中御上洛記』 太田 浩史著 響流書房
現在繁忙期のため電車ぐらいでしか本が読めないのだが、通勤中に読んでて、泣いた。ていうか、読み終わるまで毎回泣いた。
薦めてくれた友達に、「ヤバい、泣ける。電車で泣ける」とLINEを送ったら、「え?どこらへんで?」と素っ気なく聞かれた。そうだ。わかっている。これ、泣く本じゃない・・・。
「御影道中」ってなに?という方は、こちらを。自分もこれを拝見して理解した。
端的に言うと、「蓮如上人御影道中とは、浄土真宗中興(ちゅうこう)の祖・蓮如(1415~1499)の肖像画「御影」を輿車(リヤカーのようなもの)にのせて京都の東本願寺(真宗大谷派本山)から福井県あわら市の吉崎東別院まで僧侶と門徒たちが徒歩で運ぶ宗教行事である。」(しんらん交流館HPより抜粋)
この本は、吉崎別院から真宗本廟までの「御上洛」の道中記であり、道中の寺や地域にまつわる真宗の歴史にふれたものでもあり、随筆ともいえよう。
今御影と一緒に歩く記録と、歴史上の出来事の紹介が交錯してなんだかよくわからない世界に引き込まれる。本当に引き込まれる。
自分は不勉強なので、真宗の歴史についてはほとんど知らなかった。親鸞聖人、蓮如上人、そして歴代門主、本山を支えられた方々のご苦労を拝見し、なんとたくさんの人たちを通して、お互いに影響し合いながら今ここに教えが届けられているのかと、本当に驚いた。みんなこれ知ってるの?歴史の教科書みたいに読んだらだめだ。
でもなんだろう。それだけではこういうので涙が出る自分ではないのだけれど、どんどん読み進めても、どのページを拝見しても、こみ上げてくるものがあった。バウッダを読んだ時のようだ。
とりわけ北垣国道日記『塵海』が記す東本願寺危機はよかった。。。
ほんとうにお立ち寄りのお寺ごとに書かれる文の素晴らしさ、著者のセンスが光る。以前読んだ著者太田師の『妙好人 棟方志功』も最高だった。
いやそれなんで泣けるんかわからないではないか・・・というつっこみはしないで、真宗門徒の方、とりわけ真宗大谷派の方は一度読まれることをお薦めする。
いつか御影道中を見に行きたい。
そしてこの本を読んで泣いた人と語り合いたい。なんで泣けるのかを。