『現世往生という迷い―完全版』 三木悟 響流書房
この本は、「現世往生」が論点の本になっており、なにが問題か理解してないといけないかなと思う。なので初めての方には向いておらず、お聴聞してお東とお西のお話の違いみたいなものに心当たりのある方向け。
大谷派では曾我量深師の説かれた「現生往生」が主流になっているが、それに対する反証というような形の論文である。事前知識なく読んだ自分が悪いのかもしれないが、なにも知らない人間が読んで、この曾我師の主張がどこにあって(出典)、どのように内部で確立というか確固たるものになっているのかというのが今ひとつわからなかった。しかし、反証については十分すぎるほどの出典参照をもって来られている。
なので、もともと問題となった「現世往生」の経緯についてもっと知りたかった、もうちょっと書いてないとなにに反対しているのか不明瞭だったというのが知らない人間からの感想。
ただ、「往生」についての考察が出典付きでたくさんあるのでここは読んでいてとても参考になる。それだけでも読む価値はあり。