『救いとはなにか』 森岡正博 山折哲雄 筑摩選書
森岡氏の本を読んでみたかったのと、「救い」に関してどういうことがこの二人の間で対話されるのか興味が湧いた。
冒頭、森岡氏は「自分がうまく答えられなかった」というようなことを書いておられたが、そんなことはなかった。若干山折氏の問題とされるところがちょっと文献よりで話しの焦点が合ってない感じ。
東日本大震災後のところは打って変わってテンポの良い対談だと思う。
「殺してはいけない」という社会。死について。命とは。というテーマに対して哲学的、宗教的見地からの意見を戦わせる。かならずしも同意で終わらない。
対談の中で語られる、万人のというか、一般的な「救い」を聞きながら、そこを通して自分の中の救いを考える。
たくさんの例示と、良かれ悪かれ様々な角度からの意見は自分に新しい視点を与えてくれる。とりわけ、宗教ではない立場で宗教的なところにアプローチする森岡氏のスタンスは読んでいて面白い。一点、山折氏の仏教の了解について疑問点があったので、広くオススメするかというとちょっとためらう。
◆森岡氏の本のレビュー