『流浪の月』凪良ゆう 創元文芸文庫
一気読みしてしまった。
被害者と加害者という構造は真実ではない。それがわかるのは当事者のみ・・・・。
ストーリーは本当にわからない方がいいのでうかつなことは書けないが。読んだ後にこんな形の人間のつながりがあってもいいんだという気持ちになる。ある意味勇気をもらうような。そこに不条理はあるのだけど、それを受けとめて乗り越えもせず受けとめ続けて前に進むだけ。
小説を読むと感じるのだけど、活字を読むことで人の生き様が自分の中に広がっていく不思議がすごい。そして読んでわかった気になるけど、実際の生活で隣で息をしているひとについてなにも知らないのだ。家族であっても。
文章がとても美しい.自分を大事にすることを「物」の存在を通して伝えてくれる。
優しさ、あなたのため、よかれと思ってという気持ちと受けとめる側のすれ違いってなんだろう。自分も絶対にやっていると思う。そしてそれを修正することもできぬままに後味の悪いことになったりもする。直らない。治らない。
途中いろいろショッキングな表現もあるのだけど、それも含めて受けとめ続けて読むことをお薦めする。止まらない。