『妙好人 棟方志功』太田浩史著 響流書房
これはちょっと変わった本。仏教書という型にはまってない。なにしろ面白い!
一風変わった芸術家、棟方志功が周りの人に助けられて富山県に疎開した戦中、戦後の頃のお話。なんとも会話文がセンスあふれていて読ませる!著者の方、ものすごく上手い。
大分独特の雰囲気を持った方だとは思っていたけれども、どういうところにそれが露出しているのかよくわかった。そして真宗の教えに出遇って変わった棟方志功の芸術への取り組み。そしてなんだか世話を焼いてしまう周りの人たちとの交流。これは読み物として面白い!!
妙好人の本というと、浮世離れした方々のお話になりがちなのだけれど、これはそういうものではない。でもたしかに妙好人なのだな。棟方志功は。
そんなに長くなく、あっという間に読める一冊。棟方志功の人生としては一瞬だったかもしれないが、その素晴らしい一瞬を瑞々しい絵画のように切り取り見せてくれる。郷土史としても、棟方志功の伝記としても、読み物としてもとてもいい。まったく仏教に興味がない方もOK。是非一度読んでみて欲しい。
◆今まで読んだ妙好人の本