『ヤンキーと住職』近藤丸 KADOKAWA
あの『ヤンキーと住職』がKADOKAWAから紙本で出るとは!感慨深い。
やはり近藤丸さんは富山県民であった(プロフィール参照)。
前回はガツンとやられたけど、今回はヤンキーとの遭遇に驚き目から汗が出た。
コラムが秀逸すぎる。まえがきが安田理深師の言葉で始まる。作者の方は間違いなく真宗大谷派(お東)だろうと思ったら本願寺派なのである(再度プロフィール参照)。なんていうの?この西と東とか関係なく、真宗ど真ん中みたいなこの内容。あえて宗派いらないんじゃね?というこのまっすぐさ。打ち抜かれた。漫画だと伝わりやすい分、誤解を受ける可能性がある点を丁寧に説明している。コラムは必読。これだけで法話。
見た目からして「ヤンキー」と「住職」って対極というか決して同じサイドにいると思えないのだけど、すこしずつヤンキーとその仲間が人間として自分の中に向き合う対象として迫ってくる。本来、そうなんだ。住職の気づきは自分の気づきでもあるんだ。
いま、寺離れとか宗教離れとかいわれていて、やたら「わかりやすい」とか「親しみやすい」ということが言われたり、そういう方向性ばかりが取り上げられているように思うのだが、こんなにどまっすぐな真宗の本ってないぜ。住職は言う。
お寺を何とかするために仏教を伝えないとと思ってたけど、
仏教を聞きたい人のためにお寺があるんだ
お寺のために仏教を伝えるんじゃない
聞きたい人がいて伝えるということがあれば…そこがお寺になる
ほとんど漫画で200ページもないのに、お釈迦様の誕生、四門出遊、梵天勧請、初転法輪、果てはエーリッヒ・フロム、カルト問題まで現代の社会問題に関係するものまでカバー。すごい。すごすぎる。
仏教に初めて興味を持たれた方から、浄土真宗を知りたい方、どっぷり浸かっている方にも全方向でおすすめ。