如是我我聞

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『麻原彰晃の誕生』 髙山文彦

『麻原彰晃の誕生』 髙山文彦 文春新書

 ちょっと続けてオウム真理教関連の本を読んだ。これは麻原の生い立ちからサリン事件に向けて急成長する辺りまでを周囲の証言を交えて書かれていて非常に地に足のついた内容だと感じた。

 麻原はたしかに自我が強いのだろうけれど、強度は違えども自分の中にも同じ要素があるわけだ。それを忘れてはならないと思う。

 シャクティーパッドを弟子のために必死に行う姿も、親を恨む気持ちも、自分の国を作ろうとする意思も・・・すべて同じ人間の中に存在するのだな。人間というのは他者のことも、自分のこともわかるようなものじゃない、底知れぬ深さがあるのだよな。

 麻原彰晃という人間がどう生きてきたか、初期の段階を丁寧に見るのであればおすすめの本である。