『新装版 親鸞の宿業観 歎異抄十三条を読む』 廣瀬 杲 法藏館
歎異抄関連本で読んだ。法友から推薦あり。
歎異抄の話というよりは、第十三条だけに出てくる「宿業」という言葉をめぐっての浄土真宗の歴史において関連することを問題提起されている。具体的には差別問題。
著者ご自身も平和運動に関わられていると言うことで、社会問題に真宗の人間が関わること、宗教者が関わることについての一考がある。
そういう点からの記述も非常に興味深かったが、観無量寿経の韋提希に見る宗教に対する凡夫の本当の姿、十三条における親鸞聖人の「強い」言葉、そしてそれ(十三条)を唯円が自信を持って書いていること、宗教の本質として「辛抱しなさいね」、「お気の毒ですね」という側面があることなど、多岐にわたる細かい読み込みと関連した広がりがすごい。唯円、さらに唯円を通しての親鸞聖人との対話するように書かれているところがとてもいいと思った。
差別問題、社会問題のところは、普段の自分の読書セレクトだと読むことがなかったと思うのでとてもいい機会になった。
ただただ解説されている本ではない。ここには対話がある。
歎異抄を自分で読まれている方は、一度読まれるといいと思う。