『土葬の村』高橋 繁行 講談社現代新書
2021年の講談社現代新書新刊。
自分は6年前に友だちの葬儀に出た以来、葬式に行っていない。法要は別として身内として参加しそれなりの記憶があるのは母方の祖父母の葬儀のみ。
土葬についてはまったく聞いたことがなかったので大変興味深い内容だった。記憶にある葬儀の謎の儀式行為が土葬の場合にも重なっていて、死者を送り出すということがその地その地でのことであっても根源にある思いは近しいのかなと感じる。
亡くなった臨月の妊婦の葬儀をする際に、呪術的に腹から赤子をだすには浄土真宗の僧侶は役に立たなくて真言宗でないととかいうくだりはなるほどと思ってしまった。
自分の感覚からすると葬式仏教ということを離れたところに真宗の教えはあるように思うのだけど、でもこうやって亡くなった人の遺族の悲しみ、死への畏れの場に立ってきたということが事実としてあるなあと思う。
消えていく土葬という風習。自分が経験することはないかもしれないが、こういうやり方で死者を送り出してきた人間の営みを知るということは大切だと思う。