『唯信鈔文意を読む 信は人に就く』細川巌 法藏館
300ページなのだが、読み始めたら止まらない系の本だった。『唯信鈔文意』の最初の偈の解説までなのだが、もうその間にある親鸞聖人が仰りたかったことの解説が本当に豊かで厚くて熱い。
細川師の本を読むのは二冊目なのだが、まさに突き詰めて行かれた方のお話なのだということを実感する。
親鸞聖人が明らかにされたのは、信心も念仏も如来の廻向であるということです。それは誰も言わなかった。法然上人も言わなかった。善導も言わなかった。信心も念仏も如来の廻向である、本願の宗教は如来廻向の宗教であるということを明らかにされたのが、親鸞聖人です。
悲しいかな、われわれは「私」ということがなかなか言えない。「私」のことを言うのに、「私たち」といってしまう。「僕ら」、「われわれ」という。「われ」というのがなかなか言えない。(中略)自分が独立しないで、なにかに引きずられて生きている。「われ」というものが誕生してこないのです。
付箋をいっぱい貼ってしまうほどハッとする言葉がちりばめられている。細川師独自の喩えかなと思われるものも多くあり、これが辿られた道筋なのかと感じながら読めた。
続編があるのなら書籍化して欲しかったなあ。。。
これだけでも読む価値はあり!