『後世への最大遺物』内村鑑三 Kindle青空文庫
哲学系の本を読むと推薦書があるのだが、こちらの本ももれなくリストに上がっていた。
キリスト教系の本を最近読み始めて直ぐ、読了を断念した。カトリックの司教さんの本であったが、コロナ禍中の人々に愛、家族回帰を促す内容で、いまの自分には読めなかったのだ。ああ、こういうところで宗教って違うのだなと感じ、また自分がどっぷり真宗の教えに浸かりきっているというのも実感した。合わないんだな。そんなところでの幸せの話を聞きたくないというのが出来上がっちゃっている。これがいいことなのかどうかはわかない。
・・・最大の遺物とはなんであるか。私がかんがえてみますに、人間が後世に遺すことのできる、ソウしてこれは誰にでも遺すことのできるところの遺物で、利益ばかりあって害のない遺物がある。それは何であるかならば勇ましい高尚なる生涯であると思います。
内村鑑三のこの本は、講演の書き起こし。読んでいて自分は二つの感想が出た。
一つは人間としてどう生きていくべきか、何を大事にすべきかという自己啓発的な「こういう生き方をすべきじゃないだろうか」のスタンス。とてもわかりやすく、熱い想いに駆られる。自分から発することば、弱気者の立場に立つ、明快である。
わが愛する友よ、われわれが死ぬときには、われわれが生まれたときより、世の中を少しなりともよくして往こうではないか
もう一つは、宗教者の説教としての受けとめ。こうなると自分はダメなんだよなあ。先日読むのを諦めた司教さんの本と同じに思えてくる。でもなんか大谷派好きそう。世の中よくするみたいなの。
先生になる人は学問ができるよりもー学問もなくてはなりませぬけれどもー学問ができるよりも学問を青年に伝えることの出来る人でなければならない。
全然関係ないかも知れないけど法話のことを思った。話す人と聴く人。教学で何でも知っていなくてもいい。仏法が伝わればいいということ。
というふうに自分の身に引き当てて読めるものである。
若い人が生き方のヒントとして宗教関係なく読むこともいいと思う。真宗門徒である自分が読むと二つの感想が出てくるという本だった。