『くらしの中の念仏者』亀井 鑛・松本梶丸 法藏館
1986年に発刊されたもの。先日の法藏館の秋の本まつりで入手した。
いまから40年近く前当時に在野にいらっしゃった一般の念仏者の方お話。
こういう方を探して他の方に伝えるような活動ってあるのかな。
松本梶丸さんは念仏者のそのままを伝えるのがすごくうまいな。技術的なのではなくて本質を装飾なく伝わるようにしてくれている気がする。妙好人が苦手な自分でも素直に読めるのだ。
読んで思うのは、それぞれが自分の地獄を抱えて、悩みながら生きているんだなという事。誰かが大変で誰かはたいした苦しみじゃないなんて言えない。この本に出てくる人たちは、小説みたいなドラマチックな人生を歩んできたわけではない。どこかで聞いたことのある、似たことが自分の中にもある、そんな話だ。それぞれの苦しみの中で自分を引き受けて念仏されている人たちの姿は自分を省みさせてくれる。
「ただ阿弥陀さまを讃嘆するような人はいないのか」と他宗のXお友だちが仰っていたのだけど、自分は今もいると思う。お聴聞にいって、ちょっとお話ししてそういう姿を感じさせてくれる人はいる。本に書かれなくても、お名前も存じ上げなくても、お聴聞にいったさきで隣にお座りになっていると思う。