如是我我聞

仏教書、哲学書、お聴聞の記録をつけています。

『カルト宗教信じてました』 生々しい実体験

『カルト宗教信じてました。』 たもさん

 

 セールだったので買ってみた。

 エホバの証人に母親が入信し、自身も入り込んでいくという実体験のお話。漫画で絵柄も明るいので暗くならずに読めた。

 自分も浄土真宗という「宗教」に傾倒しているという点ではまったく同じように思いながら読んだ。これがこれまでの自分と違うところかな。自分に関係ないことではない。

 東京で過ごした学生時代、よく親子連れのような感じの訪問を受けた。「結構です」としか断りようがなかった。よくこういう嫌がられるしかなさそうな戸別訪問なんてするなと思っていたけど、ご本人たちはさほどダメージがある行為ではなかったようだ。そうかあ・・・。

 自分は過去に、友人がとある団体から脱退するところを見守ったことがあるし、カルトに関わる本もいくつか読んだ。

◆瓜生崇師の親鸞会入信、脱会、カルト脱会支援について。周りがどう考えるべきか野示唆に富む。

luhana-enigma.hatenablog.com

◆ヤマギシ会。なんとなくいい人たちに呼ばれて行ってしまった人の体験記。これを読んだ時は、自分は絶対入信しないと言いきれないと思った。

luhana-enigma.hatenablog.com

◆親鸞会。日常生活からどんどん入って行ってしまうリアルな大学生の体験。

luhana-enigma.hatenablog.com

 

 今回この本で気になったのが、未成年者が親の影響で入信せざるを得なくなるというところ。エホバの証人だけじゃなくって、子供への影響を思った。家を継ぐということは、別にお寺じゃなくってもある。家業があればそうだし自分の田舎だと長男が家督を継いで墓と仏壇を護るみたいなところがある。お寺の子供が寺を継がなくちゃいけないのかという問題もあるが、自分の友人が某新興宗教団体に所属する義父母と同居しなくてはならなくなりそのこともあって考えた。友人の配偶者は結婚を機に幼い頃にされていた団体の信者としての登録を抹消して結婚したらしい。義両親は現役の信者だが、昔から当人には信仰の意識はなく親が勝手に登録したと言うことで、一応登録抹消が自分は同じ信仰を持たないという宣言にはなっているとのこと。二世帯住宅に祭事用のスペースも必要になり(いわゆる仏壇みたいなもの)非常に悩んでいた。話を聞いても大変だな・・・と。今は落ち着いているようだが、当初は子供だから、結婚したからで宗教って親に合わせないといけないのかというところで悩んだそうだ。

 宗教の自由というのは個人に保証されているので、子供が違う宗教を選ぶということもあるのではないかなと思っている。

 自分はたまにお寺に子供を連れて行ったりしたことはあるが、自分のことは自分で決めてくれればいいと思っている。ただ連れて行って南無阿弥陀仏は聞かせたからあとは自由に、なのだ。

 著者は、お子さんの病気を通して気がつかれたわけだが、同じ信者の夫の方も同時にそのように思われたのはとても幸せなことじゃないかと思う。友人もそうだけど、他にも家庭内で脱会した人としていない人がいる、家族が反対して孤立しているなどいろいろなことがあるだろう。支え合う人と同じ方向を向けたのは本当によかったと思う。

 最初に戻って、この本はエホバの証人のことではあるが、自分も宗教の側にいる人間だと思って読んだ。浄土真宗であっても「宗教」。このことは忘れないようにしようと思っている。