ニューズウィーク日本版 9/13号 特集 統一教会 虚像と実像
すごくいい特集だった。
瓜生師のインタビューがあるということでKindleで買ってみたのだけど、石戸諭氏のスペシャルリポート「統一教会を「絶対悪」と見るべきか」の読み応えはすごかった。
政界との現在の関係から、過去のつながりの元になったところまで遡り、つながっているようで互いに都合の良いところを利用し合っているような微妙な関係性まで突き詰めて取材されていると感じる。門外漢にもわかる解説でそんな見方があるのだという深さにも驚いた。まあでも政治家は宗教をなめているのだなというのは自分の感想。
宗教二世の方の話は現代においてもこのような家庭があるのだなと思うと暗澹たる気持ちになったが、主軸が宗教なだけで違った点でこんな家庭状況になることなんてまあたくさんあるのだと思う。それに宗教という外からみてわかりやすいレッテルがあると家庭問題という風には終わらなくて宗教二世問題ということだろうな。子どもが親から自ら離れるって難しいと思う。いくら自由だと言われても。
瓜生師のいうような、社会が本来の「信教の自由」を理解して、信者というレッテルではなく一人の人間として社会の中で居られる状況が必要なんだろう。そうして初めて内へ内へと濃縮し頑なになっていく信仰のカルト化が開かれた社会の中にあることで無効になるのだろう。
自分は浄土真宗といういわゆる伝統仏教の「信仰」(というと真宗的には違う感じ)を持っているが、会社にいると伝統仏教だから安心なんて思われていないなということがある。まあ、一般の人からしたら宗教は宗教なのだ。ニュースになるかならないかの微妙な差でしかないのだ。というのを肌で感じることがある。
レポートは最後瓜生師の言葉で締められていた。「《自分たちは絶対善の正しい存在、相手は絶対悪》という思考こそがカルト的思考なのです。社会がそれにとらわれてはいけない」。
この後の有田芳生氏の統一教会が政界へどのような手段で入り込んでいったのか。宗教性は別として団体として統率され計画的に行われたことの解明について書かれているのが面白い。
さらに北島純氏の政教分離のあり方というのも視点を絞っていてよかった。
統一教会の問題ついてさまざまな角度からの見方を知ることが出来る。最終的に、400円は安いと思う。
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