『地獄と浄土、どちらへいきたいですか? ー私が私から解放される世界』
瓜生崇 サンガ伝道叢書
・紙本
・Kindlle
「本当のいのちは尊いのか」
一生懸命会社員として生きるわたしは、この立場がなくなったら自分の存在意義をなくしてしまうことはうっすらわかっている。リストラや退職を横目で見て、自分がここにいなくてもなんとかなる。でも、日々の中で自分の業務に「ありがとう」といわれて、あるいは会社から役割評価をしてもらって自分の足下を確かめている。
自分は自分でいるため、生活(お金をもらう)をするためだけでなくて社会(会社)にいるともいえる。なくなるとかわっていてしがみつかずにいられない自分に気がついている。頭でわかっているけれどその先を考えるのが怖い。
このお話を読んでそういう自分を炙り出され、表紙のねこのようにどこにいくかわからない道を行っているのだという気持ちになった。
走っていると自分はこうだと自分で自分をこんなものだと固めてしまう気がする。それに「ちょっと待て」と声を掛けられる話だった。
「独りぼっちの世界」
地獄は独りぼっちの世界。
いまも突き詰めたら独りぼっちだ。言葉が通じているからわかり合えている様に思うこともあるけれど、自分を本当にわかってくれる人はいない。自分も誰かを本当にわかることは出来ない。哀しい。
自分の幸せは、きっといまの自分の「こころ」なのか「気分」がいい方にいるということだろう。でもそれはあっという間に変わってしまうもの。自分でもコントロールが出来ないもの。こんなのはしんどくてやめたい。
そういう迷いの世界にいるわたしを本当の世界に目覚ませようとする法藏菩薩。
境界のない世界、浄土。独りぼっちの暗い世界にいるわたしを貫く南無阿弥陀仏のお話。
仏教を聞いたこともない人にもわかる言葉で書いてあるのでおすすめ。
◆瓜生師の本