如是我我聞

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対話するということ 『親鸞の世界』

『親鸞の世界』鈴木 大拙  (著), 金子 大榮 (著), 西谷 啓治 (著), 曽我 量深 (著)

  真宗文庫

 鈴木 大拙、金子 大榮、曽我 量深の3人の対談の司会が西谷 啓治。

 なにこの豪華絢爛さ。

 くまなく真宗の肝要について話しをされるわけだが、鈴木師のつっこみが素な感じでものすごい。あくまで冷静、言葉を選ぶ金子師に自分の言いたいことが溢れてきたら止まらない曽我師。絶妙な質問を交えて話しを振っていく西谷師。これいろいろ考えられたけど空気感を伝えるためにそのままテープ起こしみたいな場面もあるんだろうな。

 曽我師の見解については通して聴いてもちょっとわからないところはあった。世自在王仏と法蔵菩薩を同一と捉えるのはなんかこの話の流れだとよくわからなかった。あと、寺に来る年寄りにはむずかしいことはわからないからいわなくていいみたいなところも何度かあり、ちょっとうーんとなる。

 曽我師と金子師の領解か違うと西谷師が指摘するのもすごいなと。でもそれは表現であって、通じている感じがまた不思議なのだ。

 とにかくこのメンツの対談、おお!そうきたか!と興奮しながら自分はどうかなと考えながら読み進める。真宗の方は是非一度読まれることをおすすめする。

 

 先日、浄土真宗本願寺派でいろいろ話題になっている新領解文についての対談をみたのだが、本願寺派の僧侶の方が、教団内での立場を捨てて(といっていいのだろう)自分の思うところをお話しされる姿には鬼気迫るものがあった。この本の対談も、自分の領解、お互いわかり合えない人間同士の受け取りをできる限り言葉にして行く営みを見せてくれているのだと思う。人は本当に伝えたいことがあったら,話し続けるんだろう。でもたまに絶望してなにも言えなくなるときもあるかもしれない。自分の身を振り返って思った。言葉を紡ぎ出そうとしている人たちの話を自分はちゃんと聴いていこうと改めて思った。

 

◆金子大榮の本

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◆曽我量深

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