他宗と浄土真宗の比較という視点の本。
比叡山には二年ほど前に行ったけれど、あまり天台宗について触れることがなかった。改めて読んでみると、最澄はなんとなく空海とライバル的、中国から仏教経典を持って帰って広めたという2点ぐらいしか知らないなと…。
天台宗も一乗教義。天台宗の念仏は、『仏を想う』という『観相念仏』。また、最澄の浄土思想は、西方願生でなく、心の中に浄土があり、阿弥陀様がいるというもの。『己心の弥陀・唯心の浄土』と呼ばれている。
細部は省くが、基本的な協議を知ると、親鸞聖人が天台宗から学んだことが基底にあるという観点から、親鸞聖人の教義がどのように完成されていったのか、天台宗の教えからどういった影響を受けていたのかというのが見えてくる感じ。
ちょっと驚きなのは、天台では、極楽浄土は修行ができるよい環境の場所。往生後に修行をするそうな。全然浄土真宗にはないイメージ。
円教、密教、禅、戒律、浄土思想が総合されているという日本天台。軽く触れているぐらいだと思うが、他宗のことを学ぶことは、真宗学への理解を深めるためにも、比較して学んでみてもいいなと思った。まずは浄土真宗だけれども。
全く浄土真宗の知識がない人も読めなくはないが、浄土真宗の教義をある程度踏まえたうえで読まれる方が、理解が深まってよいと思われる本。