『私にとって神とは』 遠藤周作 光文社文庫
遠藤周作を続けて読んでみようとタイトル買い。
Q&A方式のエッセイというか、遠藤氏の宗教、信仰についてのシンプルなことばに「ああ、あなたはそうなのですね」と対話する感じで読むことが出来る。
とても不思議なのだけれど、ここでおっしゃっている遠藤氏の仏教に関する知識はとても禅寄りなのだ。なのに最終的におっしゃてていることが真宗になるという・・・。これがわざとではないのだ。自分で求道されて至られたところがここなのだというのが本当に伝わってくる。
細かいところをみて「これは真宗じゃない」という人もいるかと思うが、なんの知識もない人が自分のことを見つめて見つめて考え抜いた末に至ったところが真宗と似ているのって、ぞくぞくする。
遠藤氏は『沈黙』に出てくるキチジローは自分だとおっしゃっている。そうだなとも思うし、自分はどこにいても見えるキチジローが最終的にはロドリゴにとって、自身と同じものでもあり、キリストでもあるような気がしたのだった。キリスト教のことはよくわからないけれど。
信仰というのは九十パーセントの疑いと十パーセントの希望である。
これも刺さるなあ。疑いしかないのだ。自分はありがたいと、信じていると、疑いがないなんてまったく口に出来ない。
これを読んでしまったが為に、信仰の揺らぎと共に書かれたという『イエスの生涯』『死海のほとり』『キリストの誕生』を読まなくてはならないと気がついてしまった・・・。
◆遠藤周作のブックレビュー